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» 2019年12月06日 09時30分 公開

5Gを超えた超高速無線通信へ:大阪大学とローム、テラヘルツ波の検出感度1万倍

大阪大学の研究グループとロームは、共鳴トンネルダイオード(RTD)のテラヘルツ波検出感度を、従来の1万倍に高める方法を共同で開発した。この技術を用い、毎秒30Gビットの高速無線通信実験に成功した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

同期検波方式を用いたRTD受信器で復調

 大阪大学大学院基礎工学研究科の冨士田誠之准教授らの研究グループとロームは2019年12月、共鳴トンネルダイオード(RTD)のテラヘルツ波検出感度を、従来の1万倍に高める方法を共同で開発したと発表した。この技術を用い、毎秒30Gビットの高速無線通信実験に成功した。

 大阪大学とロームの研究グループは2011年、RTDを用いたテラヘルツ無線通信に、初めて成功した。RTDは基本波でテラヘルツ発振が可能なため、トランジスタに比べて回路構成が簡単で、小さい電力消費で動作できるなどの特長がある。ただこれまでは、送信器からのテラヘルツ波出力が十分ではなく、通信速度は毎秒9Gビットにとどまっていたという。

 研究グループは今回、RTDを検出器として活用することにした。RTDは通常、動作電圧を負性抵抗領域に設定すると発振するが、検出器としての動作は不安定になるという。ところが、検出したテラヘルツ波とRTDの発振周波数が一致した場合、注入同期現象によって発振出力が検出動作に寄与し、検波出力が増大することが分かった。

共鳴トンネルダイオードを用いた同期検波方式の概要 (クリックで拡大) 出典:大阪大学

 開発した同期検波方式と従来の直接検波方式を比べると、テラヘルツ波の検出感度は1万倍も向上したという。

今回開発した同期検波方式と従来の直接検波方式によるテラヘルツ波検波特性の比較 出典:大阪大学

 研究グループは、350GHz動作のRTD送信器から出力されたテラヘルツ波を、オンオフ変調方式で無線伝送し、開発した同期検波方式によるRTD受信器を用いて復調した。この結果、高い信号強度が得られ、毎秒30Gビットの通信に成功した。この通信速度は、電子デバイス送受信器を用いた誤り訂正なしのエラーフリー無線通信としては最高値となり、非圧縮スーパーハイビジョン映像(8K Dual Green方式)の伝送も可能な値だという。

無線通信実験の結果。挿入図は試作したRTD 出典:大阪大学

 研究グループによれば、将来は毎秒100Gビットを超える高速通信も可能とみている。動作周波数を2THzまで高めると、分光分析や非破壊検査、分解能が高いレーダーへの応用など、高速通信以外の用途にも適用できるという。

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