ソニーセミコンダクタソリューションズは、「SEMICON Japan2019」(2019年12月11~13日、東京ビッグサイト)で、4方向の偏光子を半導体プロセス上で形成した独自構造の偏光イメージセンサーを展示した。同社は、この構造を実現したのは世界初としている。ブースでは、通常は見えないクルマの傷やレンズのゆがみなどをはっきりと映し出すデモンストレーションが行われた。
ソニーは独自の技術力を生かし、イメージセンサーの産業機器向け展開を進めている――。
ソニーセミコンダクタソリューションズは、「SEMICON Japan2019」(2019年12月11~13日、東京ビッグサイト)で、4方向の偏光子を半導体プロセス上で形成した、独自構造の偏光イメージセンサーを展示した。同社は、この構造を実現したのは世界初としている。ブースでは、通常は見えないクルマの傷やレンズのゆがみなどをはっきりと映し出すデモンストレーションが行われた。
光には、明るさ(振幅)、色(波長)に加え、偏光(振動方向)という第3の要素がある。偏光イメージセンサーは、この人の目では見ることのできない「偏光」を捉えることで、今まで見えなかった事象を可視化するというものだ。
従来の偏光カメラでは、偏光子をイメージセンサーの上に張り合わせた構造をとっているが、同社の偏光イメージセンサーでは、オンチップレンズの下に偏光子を配置。偏光子とフォトダイオードの距離を近づけることで、隣接画素に漏れこむ光を抑え、消光比特性や斜入射特性を向上したとしている。説明担当者は、「ソニーのイメージセンサーのノウハウを利用して世界で初めて実現した技術だ」と語っていた。
同社は1画素(3.45μmサイズ)ごとに、4方向(0度、45度、90度、135度)の偏光子の配置を実現、4方向の偏光画像を1度で撮影できるとし、従来のようなフィルターを回転させるといった作業も不要になった。同社は偏光イメージセンサーの提供のみを行う形だが、「後段の信号処理と組み合わせることで、リアルタイムに偏光情報を得られる」としている。
今回、展示されていたのは、2/3型有効約507万画素偏光CMOSイメージセンサー「IMX250M」と、1.1型有効約1237万画素の「IMX253M」でいずれも量産開始済み。グローバルシャッター機能、ROI機能、トリガー機能も搭載しており、主に産業用途向けとして採用されているという。
デモでは一例として、白い車体の塗装につけられた傷や、メガネのレンズのひずみなど、通常は人間の眼でみることのできない画像をはっきりと映す様子を紹介していた。
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