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LoRaWANとWi-Fiは好相性、組み合わせて幅広い用途に高精度の測位も可能(1/2 ページ)

IoT(モノのインターネット)の導入を進める際、無線接続ソリューションの選択肢が多過ぎて、その検討にかなりの時間を費やしてしまうのではないだろうか。しかし、Wi-FiとLoRaWANは、エッジからクラウドへのエンド・ツー・エンドのソリューションとしての相乗効果を生み出すことから、非常に魅力的な選択肢だといえる。

» 2019年12月20日 11時30分 公開

 IoT(モノのインターネット)の導入を進める際、無線接続ソリューションの選択肢が多過ぎて、その検討にかなりの時間を費やしてしまうのではないだろうか。しかし、Wi-FiとLoRaWANは、エッジからクラウドへのエンド・ツー・エンドのソリューションとしての相乗効果を生み出すことから、非常に魅力的な選択肢だといえる。このため、世界中の産業設備から都市全体に至るまで、さまざまなアプリケーションにおいて併用されている。Wi-FiとLoRaWANが、どのようにうまく連携しているのか、その理由を以下に取り上げていきたい。

 IoTでは、各種センサーなどのエッジデバイスから、インターネットへのコネクティビティが必要だ。エッジ上のプロトコルでは通常、IEEE 802.15.4ベースの規格であるBluetoothまたはWi-Fiのどちらかが選択される。いずれも、メッシュネットワーキング機能を備えているためだ。ここからデータがゲートウェイに伝送され、さらに、セルラーネットワークまたはLPWAN(Low Power Wireless Area Network)のいずれかを経由してインターネットに伝送される。

 Wi-Fiは、高速データ伝送が可能な唯一のプロトコルだが、アクセスポイントの消費電力量がかなり大きい。また、Wi-Fiの伝送距離は、見通し環境においてわずか200m程度にとどまり、使用するチャネル帯域幅は20MHz以上、周波数帯は2.4GHz帯と5GHz帯で、建物がある場合は電波が遮られてしまう。一方、LoRaWANを採用するエッジデバイスは、電力消費量がマイクロアンペアレベルである上、コイン電池だけで長期間動作が可能だ。プロトコルが使用するチャンネル幅は500kHz以下と非常に狭く、最大伝送電力は20dBm(50mW)である。さらに、サブギガヘルツ帯を使用するので障害物に強く、本質的に長距離伝送が可能だ。

 LoRaWANの愛好家たちは、テスト伝送で素晴らしい成果を得ている。例えば、スペインの研究チームは2018年7月に、指向性アンテナに風船を取り付けて、Hope ElectronicsのRF出力14dBm(25mW)の「RFM95W」トランシーバーを使用し、766kmという記録を達成した。

 LoRaWANは、エンド・ツー・エンドソリューションに必要なあらゆる機能を備え、世界140カ国以上で非常にうまく運用されているため、論理的に考えれば、Wi-Fiと組み合わせるのではなく単独で使用できると思われるかもしれない。

 しかし、Wi-Fiは、LoRaWANにはないスループットと低遅延性能を提供できる。つまり、Wi-FiとLoRaWANというまったく異なる2つの技術を併用すれば、より多彩な利用状況が想定される中で、どちらか一方だけでは対応できないソリューションを生み出すのである。この強力な組み合わせによって、さらに幅広い用途への扉が開かれる。

LoRaWANとWi-Fiは補完関係にある
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