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» 2019年12月24日 13時30分 公開

大山聡の業界スコープ(24):日本の半導体産業は今後どうすべきなのか (1/2)

筆者は仲間とともに半導体設計開発会社を興すに至った。今回は私事で大変、恐縮ではあるが、新会社に対するこだわりについて述べたいと思う。

[大山聡(グロスバーグ),EE Times Japan]
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 EE Times Japanは2019年12月11日、「ヘリオステクノホールディングは2019年12月、顧客別専用半導体の開発や設計を行う新会社を設立し、2020年1月から業務を開始する」と報道した。新会社の代表には、カルチャー・コンバージェンス・デザイン代表取締役の吉田一三氏と筆者の2人が就任する予定で、この報道の後、筆者の元へは「今さら何をはじめるつもりだ?」「人材をどうやって集めるのか?」「コンサル業務と2足のわらじを履くのか?」といった問い合わせが相次いでいる。

 私自身も、最近まで新会社の親会社であるヘリオステクノホールディングのことは全く知らなかった。そして、新会社設立の話をもらったときは「今から半導体に参入とはずいぶん思い切ったことを考える会社だな」と思ったものである。

 にもかかわらず、なぜ今、半導体設計開発会社を興すのか――。今回は私事で大変、恐縮ではあるが、われわれ設立関係者の新会社に対するこだわりについて述べたいと思う。


垂直統合から水平分業へ、そしてまた垂直統合へ

 元々半導体産業は、日本でも欧米でも、社内システム向けのデバイスを自社で開発、製造する垂直統合型の事業モデルで成長してきた。社内で必要なものは社内で作るしかなかったのである。その後、半導体市場規模が拡大すると共に、設計や製造に特化したそれぞれの企業が連係してグローバルに事業効率を高める水平分業型の事業モデルが主流となり、日系電機メーカー各社はこの流れに遅れをとってしまった。

 やがてはエルピーダメモリ、ルネサステクノロジ、NECエレクトロニクス、三洋半導体、富士通セミコンダクターなど、日系各社も半導体事業を分社して水平分業型に移行しはじめたが、これらは事業効率を高めることが目的だったわけではなく、収益リスクが高くて投資や開発負担の大きい半導体事業を連結から切り離すことが主目的だった。攻めるための水平分業ではなく、もう半導体とは関わりたくない、という本社の意向が反映した結果に過ぎなかったのである。

 そして昨今では、AppleがiPhoneのためにSoCを自社開発したり、Googleが自社データセンターのためにAIプロセッサを開発したりするなど、システムベンダーが差別化戦略を強化する目的で半導体の内製化に取り組みはじめている。シスコシステムズは、光学部品メーカーの米 Acacia Communicationsを26億米ドルで買収すると発表し、さらにはCisco Silicon Oneというネットワーク構築用SoCの外販にも乗り出した。半導体は付加価値を生み出すための戦略事業として、再び垂直統合型の事業モデルに組み込まれる動きが出てきているのである。

 垂直統合から水平分業へ、そしてまた垂直統合へと、半導体産業を取り巻く事業モデルは、20年あるいは30年という長い周期の中で移り変わっているようにも見える。どちらが良いか悪いか、ということではなく、それぞれの時代で求められるニーズが変化しているために、半導体事業の在り方が影響を受けている、と考えるべきだろう。

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