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スマートホーム向けデバイス、標準規格化が始動AppleやGoogleなどが参画

AmazonとApple、Google、Zigbee Allianceは2019年12月18日(米国時間)、新しいワーキンググループ「Connected Home over IP」を設立したと発表した。スマートホーム製品間の互換性を高めるべく、ロイヤリティーフリーの新しいコネクティビティ規格を開発し、その採用を推進していくという。

» 2020年01月07日 09時30分 公開
[Nitin DahadEE Times]

スマートホーム向けデバイスの互換性確保へ

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 AmazonとApple、Google、Zigbee Allianceは2019年12月18日(米国時間)、新しいワーキンググループ「Connected Home over IP」を設立したと発表した。スマートホーム製品間の互換性を高めるべく、ロイヤリティーフリーの新しいコネクティビティ規格を開発し、その採用を推進していくという。2020年後半までにはドラフト版の仕様書を完成させ、スマートホームの完全な実用化を目指していく予定だ。

 Connected Home over IPプロジェクトは、製造メーカーの開発作業を簡素化し、消費者向けに互換性を高めることを目標とする。報道向け発表資料によると、今回のプロジェクトは、「スマートホームデバイスは、安全性と信頼性を備え、シームレスに使用できなければならない」という共通の信念を基盤としているという。IP(Internet Protocol)に基づいて、スマートホームデバイスやモバイルアプリ、クラウドサービスなどの間の通信を実現し、デバイス認証向け専用のIPベースのネットワーク技術を定義していくことを目指す。

 Connected Home over IP規格に準拠したデバイスは、少なくとも1つの対応技術を実装しなければならないが、必ずしも全ての技術をサポートする必要はないという。最初の規格策定では、IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6)までを含むWi-Fi(IEEE 802.11a/b/g/n/ac/ax)と、2.4GHz帯のIEEE 802.15.4-2006のThread、Bluetooth Low Energy(BLE 4.1/4.2/5.0)のIP実装などをサポートする予定だという。

 またConnected Home over IPは、イーサネットやセルラー、ブロードバンドなどの他の技術も採用する予定である。メーカーによって、Wi-Fi、イーサネット、Thread、BLEなど使用したいプロトコルが異なるからだ。

オープンソースを目指す

 Connected Home over IPは、新しいコネクティビティプロトコルの開発および実装向けにオープンソースのアプローチを採用する予定だ。規格策定と同時に、オープンソースプロジェクトの開発にも取り組むことにより、現実世界のユースケースの中で、アーキテクチャの試作やテストを行うことができる。最終的には、アダプターで同じコードを使用して、製品開発を加速することも可能だ。

 Connected Home over IPは、プロトコル開発を推進していく上で、まずはAmazonやApple、Google、Zigbee AllianceなどがIoT(モノのインターネット)市場内外で実証済みの、スマートホーム技術のコンポーネントから着手する予定だ。これらの技術の活用が決定したことで、プロトコル開発が加速し、製造メーカーや消費者が迅速にメリットを享受できるようになると期待されている。Connected Home over IPが選ぶオープンソースコードは全て、オープンソースプロジェクトに複製され、必要に応じて修正される予定だ。

 プロジェクトでは、Amazonの「Alexa」やAppleの「HomeKit」、Googleの「Weave」、Zigbee Allianceのデータモデル「Dotdot」など、既存システムの開発作業やプロトコルを活用していく予定だという。ただしConnected Home over IPは、「われわれは現在のところ、音声アシスタント機能やスマートディスプレイ、デスクトップ、モバイルアプリといったスマートホームユーザーインタフェースについては、標準化を目指すつもりはない」と強調している。

 Connected Home over IPには、Zigbee AllianceのボードメンバーであるIKEAや、Legrand、NXP Semiconductors、Resideo、Samsung SmartThings、Schneider Electric、Signify(旧社名Philips Lighting)、Silicon Labs、Somfy、Wulianなどの企業も参加し、プロジェクトに大きく貢献している。

Connected Home over IPに参画している企業

 Connected Home over IPは、「IPは、家庭やオフィスなどで使われている最も一般的なネットワークレイヤーであり、IPメッセージは、その下位層である物理層やデータリンク層とは別の独立したネットワーク全体に伝送できる。このため、IPベースのアプローチが最も適しているといえる」と述べる。

 「堅牢かつレジリエントな方法でルーティングやスイッチング、ファイアウォーリングを実現できるよう、さまざまな厳しい試験を乗り越えたアルゴリズムやインフラが用意されている。IPに加えて、TCPやUDPなど既に使われている伝送プロトコルも引き継ぐことが可能だ。このためIPは、デバイス同士や、アプリケーション、サービスなどの間の通信において、エンド・ツー・エンドのセキュリティおよびプライバシーを提供する上で、理想的な方法だといえる。プロトコルはIP上に構築されるため、メッセージトラフィックが、さまざまな種類のネットワーク間をシームレスに伝送できるようにする必要がある」(Connected Home over IP)

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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