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武漢の封鎖、主な中国企業への影響は?新型コロナウイルスの感染拡大(1/2 ページ)

武漢は現在、湖北省のほとんどの都市と同様に封鎖状態にある。湖北省の輸送機関やケータリングサービス、観光などの産業は大きな影響を受けている。本記事では、武漢などに拠点を持つ主な中国企業への影響をまとめる。

» 2020年02月10日 13時30分 公開

 武漢は現在、湖北省のほとんどの都市と同様に封鎖状態にある。湖北省の輸送機関やケータリングサービス、観光などの産業は大きな影響を受けている。

長江に掛かる武漢長江大橋(intheskyによるPixabayからの画像)

 封鎖によって、主要な産業部門が打撃を受けている。EE Timesのデータベースによると、武漢は通信、自動車、製薬の3分野が盛んである。さらに、世界クラスの産業クラスタもある。具体的には、ディスプレイパネルおよびメモリ、光通信、自動車およびパーツ/コンポーネント、生物医学および医療機器の3クラスタだ。武漢は中国の4つの産業拠点(ストレージ、サイバーセキュリティ、電気自動車(EV)/コネクテッドカー、航空宇宙)がある産業の中心地である。

武漢の位置。上海と重慶のちょうど中間に位置する

 湖北省の中心地である武漢は、漢方、漢陽、武昌の3つの旧都市(現在は地区)を統合した名称である。武漢は、漢江と長江の合流地点に位置する。沿岸から約965kmで、上海と重慶の中間にある。

 地理的な位置から、武漢は中国の交通の中心地になっている。さらに、この地域は多くの企業の拠点でもある。湖北省に拠点を構える企業は106社に上り、そのうち60社が武漢にある。その他の企業は、湖北省の別の地域に拠点を置く。

 詳しく見ると、湖北省には電子通信関連企業が20社以上、医薬品企業が11社、自動車企業が4社ある。コロナウイルスの流行によって、湖北省の関連企業は生産を停止し、操業再開を延期している。この影響は、中国全土に波及する可能性が高い。

武漢に拠点を置く企業

 EE Timesのデータベースによると、湖北省には約20の産業チェーン企業の拠点がある。3次元NAND型フラッシュメモリを手掛けるYMTC(Yangtze Memory Technologies Co.)、NOR型フラッシュメモリメーカーのXMC(Wuhan Xinxin Semiconductor Manufacturing Co.)、2017年に設立された、14nm〜7nmプロセスまでを扱う半導体ファウンドリーHSMC(Wuhan Hongxin Semiconductor Manufacturing Co.)、ディスプレイを手掛けるTianma Microelectronicsなど、世界的に知られている企業も多い。

 今後、湖北省の企業が製造する製品が各産業部門の上流および下流のサプライチェーンに影響を及ぼすことが懸念される。企業によって再稼働のスケジュールが異なることが大きな要因だ。

 産業チェーン企業は、工場が操業を再開したとしても、避けられない課題に直面する可能性がある。物流や輸送の他、休暇中の滞在先から戻れなくなった従業員の欠勤などは、企業努力では対応できない。さらに、材料不足も懸念される。

 それに加えて、コロナウイルスの流行以来、企業は従業員の健康に細心の注意を払わなければならない状況にある。

 例えば、ある従業員がコロナウイルスに感染したと診断された場合、その工場全体を操業停止または隔離しなければならない。つまり、従業員の健康状態がサプライチェーン全体に影響を及しかねない問題になるのだ。

 こうした状況の中、中国の業界関係者が提示した状況予測は、あまりにも楽観的と言わざるを得ない。

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