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» 2020年03月30日 12時00分 公開

富士電機 電子デバイス事業本部長 宝泉徹氏:5年で1200億円投資、拡大市場狙い攻勢強める富士電機 (1/2)

富士電機がパワー半導体市場で攻勢を強めている―――。2019年に発表した2019〜2023年度中期経営計画(以下、中計)において、同社は成長戦略の中核にパワエレシステム/パワー半導体を置いた。特にパワー半導体については2023年度の売上高目標を1750億円(2018年度比57%増)とするなど、主力のIGBTを原動力に市場での存在感を高めていく方針だ。今回、同社電子デバイス事業本部長、宝泉徹氏からその戦略や開発方針などを聞いた。

[永山準,EE Times Japan]

 富士電機がパワー半導体市場で攻勢を強めている―――。2019年に発表した2019〜2023年度中期経営計画(以下、中計)において、同社は成長戦略の中核にパワエレシステム/パワー半導体を置いた。特にパワー半導体については2023年度の売上高目標を1750億円(2018年度比57%増)とするなど、主力のIGBTを原動力に市場での存在感を高めていく方針だ。今回、同社電子デバイス事業本部長、宝泉徹氏からその戦略や開発方針などを聞いた。

生産能力拡大に積極投資、車載向け売上高比率を50%に

――まず、2019年第3四半期までの振り返りをお願いします。

宝泉氏 2018年までは順調に推移していたが、米中貿易摩擦の影響が2019年に入りじわじわ効いてきたという印象だ。これは直接的影響というより顧客の設備投資が停滞した影響が大きく、売り上げに占める比率が高い産業分野の工業設備関係を中心にで少し足踏みしてしまった。一方で、風力や太陽光などの新エネルギー向けは海外を中心に引き続き好調だった。また主にインバーター化が進む中国の民生用エアコン向けも比較的堅調に展開できた。

 自動車分野については2019年は自動車自体の販売台数が低迷したため、期待していたような大きな伸びにはならなかった。ただ、「電動化」という意味でいえば前年比でも増加を続けており、2019年第3四半期までは大きな落ち込みにはなっていない。計画通りとはいかなかったものの対前年比では大きく伸びており、比較的順調といってよいだろう。

――市場を取り巻く環境に対して、中期経営計画への影響はどのように考えていますか。

宝泉氏 前述の米中貿易摩擦のほか、足元でいえば新型コロナウイルスの影響に対する懸念もある。それでも長期的に見れば世界的な省エネ、CO2削減への流れなどのトレンドは確かなものであり、足元がどうであっても基本的な戦略は変わらない。そのため、2018年〜2023年度の間に半導体市場全体は年率約7%成長、自動車市場は年率約13%という高い成長を見込んだうえで、2023年度の売上高目標を1750億円とする中計について、現在のところ変更の予定はない。(取材日:2020年3月12日)

――5年間で1200億円の設備投資を予定していますが、具体的な用途を教えてください。

富士電機 電子デバイス事業本部長、宝泉徹氏

宝泉氏 富士電機のパワー半導体製品としては大きく自動車分野、産業分野の2つに分かれる。2023年度までに自動車分野を半導体売り上げ全体の50%まで引き上げる計画であり、予定している投資の大半は自動車分野向けとなる。前工程は共通の設備を用いているため切り分けて考えるのは難しいが、売上高の増加率からいえば自動車分野が6、7割程度を占める形となるだろう。

 内容としては合理化(8インチへの切り替え)および8インチラインの能力増強が中心で、2023年度までに同ラインの生産能力を約3倍(2018年度比)に強化していく。前工程は国内3カ所、海外1カ所に拠点があるが、今回は国内拠点の能力拡大を行う予定だ。海外拠点については、後工程の能力拡大を進める方針だが、基本は需要に合わせて地産地消でやりたいと考えており、海外の売上比率を上げていくに従って伸ばしていく。後工程は前工程ほど準備に時間がかからないため、直近で具体的な計画があるわけではない。

――一部競合他社が進めている300mmライン導入は検討していますか。

宝泉氏 もちろん将来的には必要になるとは考えており、要素技術開発などはスタートし準備している。ただ、ウエハーのばらつきやウエハー自体が重量化することなどによるプロセスの弊害といった技術課題が残っており1〜2年での量産化は難しい。2023年ごろの立ち上げを目標として取り組んでいる状況だ。具体的に自社で立ち上げるかどうかなどは、いろいろなやり方を検討している。

――研究開発費も過去5年(2014〜2018年度累計実績)と比べ116億円増の740億円を計画しています。具体的にはどの製品に向けた投資でしょうか。

宝泉氏 われわれの半導体の売上高全体の中でIGBTが6割以上を占めている(その他は産業分野のディスクリート製品が20%程度、残りが自動車分野のディスクリート製品など)。研究開発の中心は主力のIGBTであり、第7世代IGBTの系列拡大や第8世代IGBTの技術開発などを進めていく。

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