メディア

新型コロナウイルスとの戦いで活躍する最新技術「背負うバリア」や国家レベルの色分け追跡システムなど(1/3 ページ)

新型コロナウイルス(COVID-19)が世界中で猛威を振るうなか、中国や米国では治療/診断支援および感染拡大を抑えるためにさまざまな最新技術の導入を進めている。今回、その一例を紹介する。

» 2020年03月27日 11時30分 公開
[Cabe AtwellEE Times]

紀元前までさかのぼるパンデミックとの闘い

 感染症の世界における最悪のシナリオは、流行感染症が国境を越えて拡大する「パンデミック(世界的な大流行)」の発生である。現在世界中で新型コロナウイルス(COVID-19)との戦いが繰り広げられているが、このような状況が発生するのは今回が初めてではない。史上初として記録されているパンデミックは、紀元前430年のペロポネソス戦争までさかのぼる。この時の感染症は腸チフスだったとみられ、4年間で世界人口の4分の1が死亡したとされている。

 その当時、病気の症状に対してどのような治療方法を用いていたのかは、ほとんど知られていない。しかし紀元前27年頃になると、ローマ人が軍用医療システムを構築し、兵士たちをできるだけ早く回復させて戦えるようにしたとされている。Valentine John Belfiglio氏の論文によると、ローマ軍は人類史上初めて、フィールド医学を導入し、野戦病院やトリアージ(重症度判定)システムなどを取り入れたという。このローマ軍のシステムは、清潔や衛生状態、公衆衛生、迅速な医療などを信頼することにより、パンデミックの防止に貢献した。

 これ以降の技術進歩により、世界中で悪性疾病の発生にも対応できる態勢が整えられてきた。1347年に世界中で黒死病(ペスト)がまん延した当時、医者たちは、玉ねぎやハーブ、ヘビの生肉(入手可能な場合)などを感染患者の体にこすりつけて、病気の治療を試みた。この他にも、当時の有名な治療法としては、ヒ素や水銀を飲んだり、砕いた鉱物を食べたりした他、衰弱した患者の体から病原体を吸入してしまわないよう、花やハーブを詰めた細長い鳥の形をしたマスクを被ることもあったようだ。

 幸いなことに、現在の世界は、悪性のパンデミックにも対処可能な態勢が以前より整っている。医療専門家たちが最先端技術を導入し、ほぼ全ての大陸を襲うパンデミックの抑制に向けて取り組んでいるところだ。

パンデミック拡大防止で活躍する最新技術

 以下に、このような一部の最新技術について取り上げ、それがパンデミックの拡大を防止する上でどのように活用され、感染患者たちの治療がどのように行われているのかを見ていきたい。

 コロナウイルスの最初の発生地となった中国湖北省武漢市では、その最前線にいた医者たちが、ロボットを使用して感染者の治療にあたっているという。広東省深セン市に拠点を置くPudu Technologyは、現地の病院に「Autonomous Service Delivery Robot(自立型サービス提供ロボット)」を導入し、隔離患者に食事や医薬品を提供したという。この他にも、中国のロボットメーカーTMiROBは、隔離病棟の空気中や表面などに付着した病原菌を殺菌することが可能な、「Titanium Intelligent Disinfection Robot(チタンインテリジェント消毒ロボット)」を提供している。これらのロボットは、UVランプや、超ドライミスト過酸化水素、空気フィルターなどを搭載し、血液や体液、排せつ物などを取り扱うことができるため、コロナウイルスの感染率の抑制に貢献した。

Pudu TechnologyのAutonomous Service Delivery Robot(自立型サービス提供ロボット) 出典:Pudu Technology
       1|2|3 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

RSSフィード

公式SNS

All material on this site Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
This site contains articles under license from AspenCore LLC.