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エッジコンピューティングの逆襲 特集

YOLOv3を20mWで実行するエッジAIチップ「Ergo」米新興企業が開発(1/2 ページ)

シリコンバレーの新興企業Perceiveが、ニューラルネットワーク計算を再発明し、エッジAIチップ「Ergo」を開発したと発表した。既にサンプル出荷を開始しているという。

» 2020年04月13日 09時30分 公開
[Sally Ward-FoxtonEE Times]

55TOP/Wの高い電力効率

 シリコンバレーの新興企業Perceiveが、ニューラルネットワーク計算を再発明し、エッジAI(人工知能)チップ「Ergo」を開発したと発表した。既にサンプル出荷を開始しているという。他社の既存品とは異なり、大規模な乗算累算ユニットは使用していない。同社によれば、4TOPS相当の演算性能で動作し、電力効率は55TOPS/Wと高く、データセンタークラスの推論を約20mWで実現するという(YOLOv3の推論で30fps[フレーム/秒])。

エッジAIチップ「Ergo」

 米国カリフォルニア州サンノゼに拠点を置くPerceiveは、オーディオやイメージング、半導体技術などを手掛ける米Xperiから2018年にスピンアウトして設立された企業だ。親会社であるXperiが、資金を全額提供しているという。Perceiveはこれまで、かなり秘密裏に活動を進めてきたようだ。Perceiveの従業員は41人で、Xperiの社内でチップ向けアプリケーションを手掛けている従業員の数と同程度だという。Perceiveの創設者でありCEOを務めるSteve Teig氏は、XperiのCTO(最高技術責任者)も兼任している。同氏は以前に、3Dプログラマブル論理の新興企業であるTabulaを創設し、CTOを務めた経歴を持つ。Tabulaは2015年に廃業した。さらにその前には、Cadence Design SystemsのCTOを務めていたという。

PerceiveのCEOを務めるSteve Teig氏 画像:Perceive

 Teig氏は、「当初、Xperiのイメージ/オーディオ処理関連の既知の知識と、機械学習とを組み合わせることを検討していた。Xperiは、DTSやIMAX Enhanced、HD Radioといったブランドを所有している。同社の技術ポートフォリオには、デジタルカメラやBlu-rayディスクプレーヤー向けのオーディオ処理ソフトウェアなどで幅広く使われている、写真の赤目修正や画像安定化といった機能向けの画像処理ソフトウェアも含まれる」と説明する。

 同氏は、「われわれは、全く白紙の状態から始め、情報理論を使って、『ニューラルネットワークは実際に、どのような計算を行っているのだろうか。その計算にアプローチするには、エッジで実現できることを変えられるような、何か別の方法があるのだろうか』とする疑問を提示してきた。こうした取り組みを数年間にわたり進めた結果、われわれのアイデアを具体化する半導体チップを開発すべきだという結論に至った」と述べる。

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