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» 2020年04月16日 11時30分 公開

福田昭のデバイス通信(240) 2019年度版実装技術ロードマップ(50):代表的なMEMSセンサーとその応用(前編) (2/2)

[福田昭,EE Times Japan]
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2mm角以下と小さな3軸加速度センサーをMEMS技術で実現

 MEMS技術による加速度センサー(MEMS加速度センサー)は、1990年代に自動車用に商品化された。2000年代に入ると、3軸を同時に計測可能なMEMSの3軸加速度センサーが開発され、据え置き型ビデオゲーム機の動き検出コントローラーに採用されることで大きく普及した。その後は携帯電話端末やスマートフォンなどが、動き検出用にMEMSの3軸加速度センサーを標準搭載するようになった。

 MEMS加速度センサーの代表的な方式は、静電容量の変化を検出する「静電容量検出」方式である。電極を備えた可動部と、電極を備えた固定部で構成する。可動部電極と固定部電極の間には狭いすき間があり、キャパシターを形成する。可動部は重りが梁(ビーム)あるいはバネによって中空に浮いている。静止状態では、重りの左右に取り付けた電極と、固定部の電極の間は等しく、静電容量には差がない。

 ここで外部から加速度が加わると、重りは加速度の方向とは反対の方向に移動する。すると重りの左右で電極間の距離が逆に変化する。例えば左側で距離が短くなるときは、右側で長くなる。このため左右で、静電容量に差が生じる。この容量差を検出することで、加速度を算出する。

静電容量式MEMS加速度センサーの原理。出典:深田ほか、「MEMS技術を応用した微小構造体形成技術−加速度センサへの応用−」、『デンソーテクニカルレビュー』、vol.9, no.2, 2004, pp.125-129。なお、この図面は実装技術ロードマップには掲載されていない(クリックで拡大)

 現在までに商品化されているMEMS加速度センサーの大きさは、3軸タイプで2mm×2mm×1mm前後と極めて小さい。自動車では衝突検知、横滑り検知、車体制御などに使われている。産業用では異常振動検知、揺れ検知、衝撃検知などに利用できる。スマートフォンとビデオゲームでは動き検出に使われている。

手振れ補正や姿勢制御などで威力を発揮するMEMSジャイロ

 MEMS技術によるジャイロセンサー(角速度センサー)の代表的な方式は、振動子を使う「振動」方式である。振動子の振動方向に対して直交する方向にセンサーが回転すると、回転軸と振動方向の両方に対して直交する方向に、力が加わる。この力を「コリオリの力(Coriolis force)」と呼ぶ。この「コリオリの力」を検出することで、角速度(回転角速度)を測定する。

 「コリオリの力」の検出には、加速度センサーと同様の静電容量方式が使われる。ここで重要なのは、振動子に加速度が作用することによる力と、角速度が作用することによる力(コリオリの力)を分離することである。このために振動子を2つ用意し、逆相で振動させる。加速度は2つの振動子に対して同じ方向に働く。これに対してコリオリの力は、2つの振動子に対して正反対の方向に働く。

 そこで検出用可動部を2つ設け、容量変化を差動で検出する。センサーに加わる加速度は同相信号となるので検出しない。差動信号となる角速度(コリオリの力)だけを検出する。

 ジャイロセンサーの用途には、スマートフォンとビデオゲームの動き検出、カメラの手ブレ補正、自動車の横滑り検知や車体制御、航空機や人工衛星、船舶などの姿勢制御、などがある。

航空機や人工衛星、船舶などの姿勢制御に向けた小型の3軸ジャイロセンサーユニット「RMU30」(左。右は従来品の「DMU30」)。大きさは5cm角(体積ではDMU30の45%)。Silicon Sensing Systems(住友精密工業とCollins Aerospaceの合弁企業)が2019年に開発した。出典:住友精密工業の2019年11月19日付ニュースリリース。なお、この図面は実装技術ロードマップには掲載されていない(クリックで拡大)

(後編に続く)

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