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» 2020年04月15日 10時00分 公開

性能向上でNORフラッシュからの移行進む:人工知能を実装する組み込みシステムにシリアルNANDフラッシュを採用すべき理由

この記事では、人工知能(AI)を組み込みシステムに実装する開発者がブートコードおよびアプリケーションコード格納用に、シリアルNORフラッシュからシリアルNANDフラッシュに移行することの利点に目を向け、NANDフラッシュの信頼性や寿命、パフォーマンスについて改めて検討すべき理由を説明します。

[PR/EE Times Japan]
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 近年、組み込みシステムに対して人工知能(AI)が急速に採用され始めています。市場調査会社IDCによると、AIを搭載したエッジコンピューティングシステム用のプロセッサ市場が2023年まで年平均成長率65%で増加することが見込まれています。一方、組み込みシステムにAIを実装するためには、より大きなサイズのコードを格納する不揮発性メモリが求められています。したがって、組み込みシステムのブートコードとアプリケーションコードの格納用に現在最もよく使われているシリアルNORフラッシュにおいても、さらなる大容量化が必要となっています。また、組み込みシステムは、定期的なフィールドアップデートやセキュリティパッチの適用なども必要であることから、プログラム/イレースのパフォーマンスに対してもさらなる向上が求められています。

NORフラッシュの弱点

 NORフラッシュは、組み込みシステムのコードストレージにおいて定評があります。NORフラッシュのテクノロジーは本質的に堅牢であり、“End-to-End”のシグナルインテグリティを保有し、10万時間以上のデータ保持をサポートします。NORフラッシュは、512Mビットまでの容量帯においてビット単価のコスト競争力がありますが、ムーアの法則で唱えられているスケーリング(プロセスの微細化)の観点では大幅に後れを取りました。

 しかし、組み込みシステムにAIを実装し始めている多くの開発者にとって、NORフラッシュのスケーリングの後れは問題を引き起こします。機械学習などのアプリケーションは複雑なコードを生成するため、1Gビット以上のコードストレージを必要とし、この容量帯におけるNORフラッシュのビット単価はNANDフラッシュと比べて割高です。これは、NANDフラッシュがムーアの法則に従って46nm、32nm、2Xnm、1Xnmと推移していったためです。チップ面積とコストの間には非常に密接な相関関係があるため、1Gビット以上の高容量帯において、プロセスノードが小さいほどNANDフラッシュはNORフラッシュよりも安価になります。

 今日のスマートデバイスやコネクテッドデバイスは、セキュリティパッチや機能のアップグレードを行うためフィールドアップデートやOTA(Over-The-Air)アップデートを必要とします。一般的なOTAアップデートでは、不揮発メモリに格納された既存コードを新規コードで上書きします。つまり、アップデート実行中にシステムの電源を切る必要があります。ダウンタイムを最小限に抑えるため、開発者はできるだけ速く更新プログラムを上書きしたいと考えるでしょう。したがって、OTAアップデートにとって重要なパフォーマンスは、プログラム/イレース時間であり、これはシリアルNORフラッシュよりシリアルNANDフラッシュの方が優れています。

NANDフラッシュの評判における問題点

 組み込みシステム向けのAIアプリケーションにおいて、NANDフラッシュの価格とパフォーマンスには利点があります。しかし、開発者たちにシリアルNANDを選択してもらうためには、意識改革を必要とします。これは、超大容量NANDのユースケースのみに基づいた先入観が、すべてのNANDフラッシュに対して持たれてしまっていることに起因します。

 ラップトップコンピュータやタブレットなどで使われるSSD(ソリッドステートディスク)向けの超大容量NANDフラッシュにおいては、データ整合性およびデータリテンションの優先順位を下げ、大容量と低ビット単価が実現されています。事実、音楽やビデオファイルの数ビットの破損や損失は、最先端のプロセスノードで製造された超大容量NANDフラッシュにとっては許容範囲内と言えます。しかし、組み込みシステムのコードストレージ用に最適化されたシリアルNANDフラッシュのパフォーマンスは、最先端の超大容量NANDフラッシュとは大きく異なります。

ウィンボンドのハイパフォーマンス高信頼性シリアルNANDフラッシュ

 組み込みシステムにおけるコードストレージ用としてシリアルNORフラッシュからシリアルNANDフラッシュへの移行を加速するため、ウィンボンドはNANDフラッシュを以下のように改良しました。

  • 1セクタあたり1ビットのビットエラー
  • 最大83Mバイト/秒の高速読み出しパフォーマンス
  • シリアルNORフラッシュとのハードウェア/ソフトウェア互換性

 ウィンボンドのシリアルNANDフラッシュQspiNAND(Quad SPI NAND)の高い信頼性は、46nmプロセスでの製造とSLC(シングルレベルセル)のメモリセル構成によって得られます。この世代の製造プロセスは、長年にわたり市場で利用されてきたことにより、信頼性と品質が証明されています。ウィンボンドの46nmプロセスによるシリアルNANDフラッシュQspiNANDは、10万時間以上のデータ保持を保証しています。さらに、ウィンボンドのシリアルNANDフラッシュQspiNANDには、1ビットECC(Error Correction Code)が実装されており、書き込みと読み出しの両オペレーションでデータの整合性を維持します。

パフォーマンスがさらに強化されたウィンボンドの第2世代シリアルNANDフラッシュ

図1:ウィンボンドの第2世代シリアルNANDフラッシュQspiNAND W25N-JWは、最大83Mバイト/秒の読み出しスループットを提供する (クリックで拡大)
(画像著作権:ウィンボンド・エレクトロニクス)

 ウィンボンドのシリアルNANDフラッシュQspiNANDは、シリアルNORフラッシュより優れたパフォーマンスとコストの優位性を実現します。組み込みシステムに実装されたAIにおいても、機械学習アルゴリズムをローカルに実装する推論エンジンは、非常に複雑なコンピューティング操作をミリ秒単位で頻繁に実行する必要があります。これには、高速なデータ読み出しパフォーマンスが必要です。

 ウィンボンドの第1世代のシリアルNANDフラッシュQspiNANDにおいて、読み出しスループットは最大52Mバイト/秒でした。昨年発表したウィンボンドの第2世代のシリアルNANDフラッシュQspiNAND W25N-JWシリーズでは、最大読み出しスループットが83Mバイト/秒です(図1参照)。さらに、W25N-JWのチップを2枚スタックしたW72N-JWシリーズでは166Mバイト/秒まで倍増させることが可能です。W72N-JWシリーズは、デュアルQuad SPIインターフェースにより8つのI/Oで構成されています。ホストコントローラは一つのチップセレクト端子を介してW72N-JWの操作が可能です(図2参照)。

図2:ウィンボンドのデュアルQspiNAND W72N-JWは、最大166Mバイト/秒の読み出しスループットを提供する(画像著作権:ウィンボンド・エレクトロニクス)

 この高速読み出しスループットにより組み込みシステムのレイテンシが短縮されます。ウィンボンドのシリアルNANDフラッシュQspiNANDは、スピーディーなOTAアップデートもサポートし、ダウンタイムを最小限に抑えるという性能も備えています。シリアルNORフラッシュの書き込みスループットが0.36Mバイト/秒なのに対し、シリアルNANDフラッシュQspiNANDは8.5Mバイト/秒です。シリアルNORフラッシュが1Gビットのデータをプログラミングするのにかかる合計時間は約6分ですが、第2世代のシリアルNANDフラッシュQspiNANDではわずか15秒しかかかりません。イレース時間は、シリアルNORフラッシュでは64Kバイトのブロックに対して150ミリ秒ですが、シリアルNANDフラッシュQspiNANDでは128Kバイトのブロックに対して2ミリ秒です。

組み込みシステムへ簡単に統合可能

 AIの機能を組み込みシステムに統合する傾向は、1Gビット以上の容量で割高なシリアルNORフラッシュの代替としてシリアルNANDフラッシュに移行する動きを強力に後押しします。ウィンボンドのシリアルNANDフラッシュQspiNANDは、シリアルNORフラッシュのインタフェースとソフトウェアの互換性があり、追加で必要なコマンド数は、NANDフラッシュ固有の操作、ECC、ルックアップテーブル(LUT)制御の5個だけです。さらに、業界標準のフットプリントと互換性をもったピン配置で提供されるため、シリアルNORフラッシュを実装した既存デザインに対して単純に置き換え可能です。

 また、ウィンボンドのシリアルNANDフラッシュQspiNANDは、NXPセミコンダクターズやSTマイクロエレクトロニクス、ルネサス エレクトロニクスなどのSoCプロバイダーにサポートされており、そのエコシステムによってさらに採用が促進されるでしょう。たとえば、NXPセミコンダクターズは、エッジコンピューティングプロセッサLS1012Aの開発ボードFRWY-LS1012Aに、ウィンボンドのSpiStack(シリアルNORフラッシュとシリアルNANDフラッシュを1つのパッケージにスタックした製品)を採用しました。QspiNANDフラッシュにLinuxオペレーティングシステムコードが格納され、シリアルNORフラッシュにブートコードが格納されています。

 第2世代のQspiNANDは現在1Gビットにて提供していますが、2Gビットや4Gビットなどの容量にも拡張可能です。これは最先端のAIテクノロジーなどにより1Gビット以上のコードストレージを必要とする組み込み開発者のニーズに対するロードマップを提供します。

【著】Syed S. Hussain/Winbond Electronics Corporation America セグメントマーケティングディレクター

【訳】森本 直美/Winbond Electronics Corporation Japan

【編】菅井 研作/Winbond Electronics Corporation Japan アシスタントプロフェッショナルマネージャー


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提供:ウィンボンド・エレクトロニクス株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2020年5月14日

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