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» 2020年04月27日 13時30分 公開

MIPSは再び独立する可能性も:Wave Computingがチャプター11申請準備か? (1/2)

「Wave Computingが、米連邦破産法第11条による破産申請を行うのではないか」、といううわさが2020年4月20日の週に飛び交った。同社は、傘下にMIPSを抱えている。当記事の執筆時点で、簡単な検索を行ったところ、Wave Computingが米連邦破産法11条の適用を申請しているとする内容の記事は見当たらなかった。今のところ(日本時間の4月27日時点では)、まだ事実ではないようだ。

[Nitin Dahad,EE Times]

チャプター11申請に向け準備か

 「Wave Computingが、米連邦破産法第11条による破産申請を行うのではないか」、といううわさが2020年4月20日の週に飛び交った。同社は、傘下にMIPSを抱えている。当記事の執筆時点で、簡単な検索を行ったところ、Wave Computingが米連邦破産法11条の適用を申請しているとする内容の記事は見当たらなかった。今のところ(日本時間の4月27日時点では)、まだ事実ではないようだ。

*)編集注:2020年4月27日(日本時間)では、Wave ComputingのWebサイトには、チャプター11適用の申請についても、本稿を否定するアナウンスについても、発表されていない。

 しかし、EE Timesの信頼する情報筋によれば、Wave Computingは破産申請を行うための準備を進めているという。米連邦破産法11条が適用されると、会社更生が可能になるため、Wave Computingは必ずしも終わりを迎えるわけではない。どちらにしても、MIPS事業は存続していくとみられる。MIPSはこれまで、常にWave Computingの中の一事業部門として存在してきた。IP(Intellectual Property)やライセンス契約は、Wave ComputingではなくMIPSの管理下に置かれている。MIPSは、自らを十分に支えることが可能な独自の収益源を持っているとして広く知られている。

複雑な運命をたどったMIPS

 Wave ComputingによるMIPSの買収は、2段階で行われた。最初に、Tallwood Venture Capitalが2017年に、Imagination TechnologiesからMIPSを買収した。その後MIPSは、独立企業としてシリコンバレーに戻ることを発表している。同社は当時、「MIPSアーキテクチャは、ほとんどのADAS(先進運転支援システム)や、台頭する自動運転車などで採用されている。例えば、Intel(Mobileye)のコンピュータビジョン向けSoC『EyeQ』は、CPUコア『MIPS I6500』を搭載している」と述べている。

 MIPSがベイエリア(米国カリフォルニア州サンフランシスコの湾岸地域)に戻ると、MIPS技術諮問委員会には、輝かしい経歴を持つ人材が集まった。例えば、かつて米スタンフォード大学(Stanford University)の学長を務め、1984年にMIPS Computer Systemsを共同創設したJohn Hennessy氏や、Juniper Networksの創設者であるPradeep Sindhu氏、旧Fairchild Semiconductor(ON Semiconductorが2016年に買収)の前CSO(Chief Strategy Officer)だったSteve Fu氏などが挙げられる。

 Hennessy氏は当時、「MIPSアーキテクチャは、シンプルさと効率性、拡張性を兼ね備え、新しいアーキテクチャ概念を取り込み、絶え間なく変化し続けるさまざまなアプリケーション向けに多くのメリットを提供するなど、長年にわたり進化し続けてきた。AIも例外ではない。MIPSは、Dado Banatao氏の主導のもと、新世代のインテリジェント用途向けとして最適なプロセッシングアーキテクチャへと成長するだろう」と述べている。

 Hennessy氏が言及したDado Banatao氏とは、Tallwood Venture Capitalのマネージングパートナーであり、現在もMIPSの運命を握っている人物だ。また、同氏は偶然にも、2008年にPete Foley氏と共に、Wave Computingを創設した人物でもある*)。Wave Computingは、過去5回の投資ラウンドで、1億6000万米ドルを超える資金の調達に成功した。この中の最後の投資ラウンドは、2018年11月に行われている。

*)Pete Foley氏は2016年にWave Computingを去り、別の新興企業Ascensiumを設立している。

 ここで賢明だったといえるのが、Wave Computingはわずか6カ月後の2018年6月に大々的にMIPSの買収を発表したが、厳密に言うと、IPはまだMIPS Techの管理下にあり、今度はTallwood Venture Capitalが直接所有することになったという点だ。このためWave Computingは、買収を発表した当時、「MIPSは、IP事業部門として稼働し、引き続きMIPS IPソリューションのライセンス供与を行っていく。Wave Computingのデータフロー技術を統合し、データセンターからネットワークエッジに至るまでAIアクセラレーションをターゲットとする考えだ」と述べている。

 MIPSは、その所有構造に関係なく、事実上Wave Computingの傘下に入り、顧客との契約締結はMIPSが担当する。このため、MIPSがImagination Technologiesの傘下に入った時と同じ状況だと解釈することができるだろう。つまり、特許は全て、MIPSが保有しているということだ。

 2019年9月には、当時のCEOだったArt Swift氏が解任されたことから、MIPSの将来が危ぶまれた。しかし、実際にはそうではなく、苦境に陥っていたのはWave Computingのシステム事業部門の方だった。多くの社員や経営陣が解雇され、主にIP事業部門が残った。つまり、MIPSが主要事業として存続したのだ。

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