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» 2020年04月30日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(44):Appleの妙技が光る「iPhone SE」、絶妙な新旧組み合わせ (2/4)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

新旧チップを絶妙に組み合わせている

 iPhone SEは「iPhone 8」(2017年)とiPhone X(同2017年)の間の欠番となっている「9」に相当しているといわれることもある。そのためiPhone 8をベースにしていると発売前から予想されていた。

 図3はiPhone 8の基板と、iPhone SEの基板の比較である。基板の形状、チップの配置、機能レイアウト、端子位置までも、ほぼiPhone 8 = iPhone SEであった!

図3:iPhone 8とiPhone SEに搭載されている基板の形状を比較する (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 基板の下部には通信用のパワーアンプがビッシリ並び、中央下にSIMカードスロット、その上にLTEベースバンドプロセッサ、AppleのAシリーズプロセッサが並ぶ。差は最新のパワーアンプ群に置き換わったこと、メインのプロセッサが「A11 Bionic」から、最新のiPhone11シリーズと同じ「A13 Bionic」に進化したことである。

 表1はプロセッサ以外の変化の一部である。iPhone 8から大きく入れ替わったものは背景色が白、同等チップを流用しているものについては背景色を水色とした(設計ベースが同じもの含む:若干型名が異なるものも同列とした)。これを見ると、2017年のiPhone 8から3年を経て、大きく変化したものが明確に分かる。

表1:iPhone 8とiPhone SEの主要チップを比較する (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 表の左から見てみると、まず電源ICが英Dialog Semiconductor製からAppleの自前となった。オーディオ系はiPhone 8のままで、LTEモデムはQualcommからIntel製に置き換わり、Wi-Fiは新しい規格Wi-Fi6対応となり、非接触充電はそのまま。新技術は積極的に取り込まれているわけだ。セカンド機にふさわしいと先に言ったものの、Wi-Fi6などの最新技術も備わっており、LTEもiPhone 8のCat 16よりも高速のCat 19をサポートしている。チップ構成はApple製品の中では現時点で最新、最高クラスと言ってもいいだろう。

 表2は、iPhone 11との主要チップ比較である。iPhone11 ProもiPhone 11とほぼ同じである。表1同様、同じチップを使うものを水色、異なるものを白色とした。iPhone SEは、プロセッサと通信系がiPhone 11から流用されているわけだ。最新の通信とプロセッサを、iPhone 8のベースに移植したということになる。

表2:iPhone 11とiPhone SEの主要チップを比較する (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

 図4にiPhone SEの流用元をまとめる。弊社では歴代iPhoneのBOM(Bill of Materials)表を全てまとめており(iPhoneの他、Samsung Electronics「Galaxy」シリーズやHuaweiの端末についてもまとめている)、iPhone SEの全チップの流用元を明確にした。図4には掲載していないが、「iPhone 6」から流用している部品もある。多くはiPhone 8とiPhone 11からで、一部はiPhone XSから流用しているものもある。iPhone SEは、ほぼ近年に発売されたiPhoneの“組み合わせ製品”だといえるだろう。電池やカメラについても言及したいが、詳細はぜひテカナリエレポートで確認していただきたい。

図4:iPhone SEは、さまざまなiPhoneの組み合わせでできている (クリックで拡大) 出典:テカナリエレポート

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