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» 2020年05月14日 10時30分 公開

テラヘルツ技術と高純度CTN薄膜で:大阪大学ら、CNTの複雑な準粒子の挙動を解明

大阪大学や米国ライス大学らによる国際共同研究チームは、テラヘルツ(THz)波放射を用い、半導体カーボンナノチューブ(CNT)における複雑な準粒子の挙動を解明した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

シミュレーションでメカニズムも特定

 大阪大学や米国ライス大学らによる国際共同研究チームは2020年4月、テラヘルツ(THz)波放射を用い、半導体カーボンナノチューブ(CNT)における複雑な準粒子の挙動を解明したと発表した。

 今回の研究は、大阪大学レーザー科学研究所のBagsican Filchito Renee Gocong特任研究員と斗内政吉教授および、米国のライス大学と南イリノイ大学、シンガポールの南洋理工大学、オーストリアのウィーン工科大学、カナダのアルバータ大学と、5カ国の共同研究者らによる成果である。

 THz波は、電子材料内で発生する極めて高速の光電流プロセスにより生成される。このTHz放射の振幅や位相を測定すれば、電子材料の超高速な光励起キャリアを詳しく調べることができるという。半導体CNT中では光励起により、エキシトンと呼ばれる準粒子が生成される。これがどのようなふるまいをするかは解明されていなかった。

 物性の解明に向けて大阪大学の研究グループは今回、THz技術と極めて純度の高い半導体CNT薄膜を用い、CNTのTHz放射と光電流生成の測定を行った。なお、配向がそろった半導体CNT薄膜は、ライス大学の河野淳一郎教授らによるグループが独自開発した「真空ろ過法」を用いて作製した。

高配向のCNTで作製した光伝導アンテナスイッチと実験装置の概略図 出典:大阪大学
順方向バイアスと逆方向バイアスで実験的に観測されたTHz放射波形 出典:大阪大学

 さらに、ウィーン工科大学と南洋理工大学のチームは、ボルツマン輸送および散乱方程式への新しい数値計算に基づいた理論シミュレーションを行った。これは、励起子の複雑な散乱工程や現実的なバンド構造、分散関係を加味したモデルだという。この結果、「励起子の解離の背後にある微視的なメカニズム」や「印加電場における自由キャリアのダイナミクス」「異なる準粒子間の変換メカニズム」などについて、詳細な議論を可能にした。

THz放射と光電流の計算されたピーク値と実験データの比較 出典:大阪大学

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