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» 2020年06月22日 12時00分 公開

福田昭のデバイス通信(251) 2019年度版実装技術ロードマップ(59):スマートフォンと車載情報機器の進化を支えるタッチパネル(前編)

今回は、「入出力デバイス」からタッチパネルを取り上げる。タッチセンサーについて、主要な5つの方式を紹介する。

[福田昭,EE Times Japan]

タッチ入力とパネル出力を組み合わせた入出力デバイス

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第59回である。

 本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」の概要を説明してきた。第4章「電子部品」は、「4.1 LCR部品」「4.2 EMC対策部品」「4.3 センサ」「4.4 コネクタ」「4.5 入出力デバイス」の5つの節に分かれる。

 前々回からは、「4.5 入出力デバイス」の概要を紹介している。「4.5 入出力デバイス」が取り上げる入出力デバイスは主に3つ。「ToF(Time of Flight)デバイス」と「タッチパネル」「車載用HMI(Human Machine Inteface:ヒューマン・マシン・インタフェース)デバイス」である。前回は「ToF(Time of Flight)デバイス」の概要と市場・技術動向を説明した。今回はタッチパネルの概要と市場動向、機能・技術動向を解説する。

2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。本シリーズの第31回から、第4章「電子部品」(プログラムの8番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)
第4章第5節「4.5 入出力デバイス」の目次。ロードマップ本体から筆者が書き出したもの。なお下線部は、今回で説明する部分を指す(クリックで拡大)

 タッチパネルは、タッチ入力(タッチセンサー)とパネル出力(フラットパネルディスプレイ)を組み合わせた入出力兼用デバイスである。入力には指やペンなどを使い、タッチセンサー(パネル状のセンサー)によって入力の位置を検出する。

タッチセンサーの主な検出方式

 タッチセンサーが入力の位置(座標)を検出する方式はいくつか存在する。主な検出方式には、「抵抗膜方式」「静電容量方式」「赤外線方式」「超音波方式」「電磁誘導方式」などがある。

 「抵抗膜方式」は、2枚の透明な導電膜(抵抗膜)をスペーサと空気を挟んで向かい合うように重ねた構造をしている。抵抗膜の裏面から1点に圧力を加えることで2枚の導電膜が接触し、抵抗値が下がる。圧力を加えた位置によって抵抗値が変化することから、入力の位置(座標)を検出する。

 抵抗膜方式の入力には手指(手袋を着用しても入力が可能)、ペン、細い棒などが使える。また製造コストが低い。ただし光の透過率はあまり高くない。さらに、鋭利な物体(刃物)によって傷が付くと、正常に動作しなくなる。

 「静電容量方式」は、指の接触による静電容量の変化を検出する。格子状の透明な電極を形成して表面を透明な絶縁体で保護した構造をしている。表面に指が接触すると格子状の電極間に生じる静電容量が局所的に変化する。この変化を電流の変化として検出する。

 静電容量方式は光の透過率が高く、多点入力(マルチタッチ)が容易であり、耐久性が高い。また抵抗膜方式に比べると軽いタッチで反応する。ただし入力には導電性の細い物体が必要であり、手袋をした指などの絶縁性の物体には反応しない。さらに、製造コストは抵抗膜方式に比べて高くなりやすい。

 「赤外線方式」は、パネルの外側2辺に赤外発光ダイオード(赤外LED)のアレイ、対向する2辺に赤外受光素子アレイを並べた構造をしている。指やペンなどがパネルを触ると赤外線が遮られることから、入力位置を検出する。

 赤外線方式は、ディスプレイパネルの表示を直接視認できる(原理的な透過率は100%)。そして耐久性が高い。ただし分解能はあまり高くない。またパネル周辺に発光素子と受光素子を配置するので小型化が難しい。さらには外光(太陽光)や塵埃などによって誤動作する可能性がある。

 「超音波方式(表面弾性波方式)」は、ガラスの表面を超音波(表面弾性波)が伝搬することをセンシングに利用する。超音波を発生する圧電素子(発信子)と超音波を受信する圧電素子(受信子)をパネルの外側四隅に配置する。レイアウトは、1辺の角に発信子と受信子の対、直交する1辺の角に別の発信子と受信子の対となる。それから各辺には、超音波の一部を直角に反射させる反射素子のアレイ(リフレクター)を配置する。

 発信子の出力である超音波はまず、リフレクターに向かって進む。リフレクターによって直角に曲げられた超音波はガラスの表面を進行する。対向するリフレクターに到達した超音波は再び直角に曲げられ、受信子に到達する。超音波が受信子に到達するまでの時間を測定することで、X方向あるいはY方向の位置が分かる。

 ここで指がパネルの表面に接触すると、超音波が減衰する。減衰した超音波の到達時間から、X方向とY方向の座標を算出する。

 超音波方式は、赤外線方式と同様にディスプレイパネルの表示を直接、視認できる(原理的な透過率は100%)。耐久性は高く、傷に強い。入力には指のほか、手袋の指、先端が柔らかな細い棒などが使える。逆に硬い棒だと、入力に反応しないことが多い。また塵埃や水滴、虫などがガラス表面に付着すると、誤反応することがある。

 「電磁誘導方式」は、ディスプレイパネルの裏面に電磁波の受信アンテナコイル群を配置し、磁界を発生する専用のペンでパネル表面付近をタッチする。タッチしたペンの付近に存在する受信アンテナで電流が発生するので、入力の位置を検出できる。

 電磁誘導方式は分解能が極めて高く、ディスプレイの表示を直接視認できる。入力には専用のペンしか使えない。また電磁誘導雑音に弱い。また構造が複雑なためにコストは高い。ただし大型化によるコストの増分は少ないので、15型パネル、20型パネルといった大きさになると、分解能の高い電磁誘導方式が抵抗膜方式や静電容量方式などに比べて優位に立つ。

(次回に続く)

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