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最新セキュア機能備えたASIL-B準拠のNORフラッシュ車載、産業、通信に向け(2/2 ページ)

» 2020年06月26日 09時30分 公開
[永山準EE Times Japan]
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セキュリティの課題を解決する次世代NORフラッシュメモリ

 このNORフラッシュについて、Geha氏は、「近年セキュリティの懸念が高まるコネクテッドシステムにおいて重要デバイスになっている」と説明する。例えばADAS(先進運転支援システム)ではSoC(System on Chip)やコンピューティングのプロセッサ、5G(第5世代移動通信)モデムなどにそれぞれフラッシュデバイスを複数接続、システム起動用プログラムやキャリブレーション用データ、重要なパラメータデータを保存する。産業機器のPLCシステムでも同様にアプリケーションプロセッサに複数接続することが多い。Geha氏は、これらのフラッシュデバイスがセキュリティ攻撃の対象となる事例が増加している、と指摘する。

左=組み込みシステムにおいて懸念されるセキュリティリスク/右=フラッシュメモリが用いられる例(一部がSemper Secure NORフラッシュとなっているが、この図のような用途で提案している) (クリックで拡大) 出典:Infineon Technologies

 さらに、SoCやマイコンのプロセスノードが28nm以下に移行する中で、車載規格に準拠したeNVM技術の実用化はコストと拡張性の面で難しくなる一方で、必要とされるコードが肥大/複雑化していることも挙げ、Geha氏は、「セキュアSoC、セキュアマイコンはコード、テータ、システム機密情報保護のため外部メモリにセキュリティ機能を持つものが必要だというのが当社の見解だ」と語った。

 今回発表した「Semper Secure NORフラッシュ」は上記の課題に対応した製品だ。Semper Secure NORフラッシュは発表済みの「Semper NORフラッシュ」で実現していたASIL-B準拠の機能安全に加え、組み込みに必要なセキュリティ機能を「業界で初めて同時に搭載した次世代フラッシュメモリだ」としている。

Semper Secure NORフラッシュの特長 (クリックで拡大) 出典:Infineon Technologies

 Semper Secure NORフラッシュは、Semper NORフラッシュのアーキテクチャを基に構築。セキュリティについては、具体的には左下図のオレンジ色部分が新しく追加された形で、ユースケースとしては、「セキュアブート」「セキュアストレージ」「セキュアOTAアップデート」の3つを説明している。

左=Semper Secure NORフラッシュの構造/右=Semper Secure NORフラッシュのユースケース(クリックで拡大) 出典:Infineon Technologies

 また、EnduraFlexアーキテクチャの実装により、パーティションごとに高耐久性または長期保存用に最適化を図れるため、システムデザインの簡素化が可能。Quad SPI やOctal SPI、HyperBusインタフェースにも対応している。

 動作電圧は1.8Vおよび3.0Vをサポート。128Mバイト、256Mバイト、512Mバイトの3種類があり、256Mバイト品は現在、主要顧客向けにサンプル出荷中。2021年第2四半期の量産開始を予定している。また、Time to Marketの短縮を実現するソフトウェア開発キットも提供する。

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