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» 2020年06月29日 11時30分 公開

光伝送技術を知る(11)光トランシーバー徹底解説(5):光トランシーバーのForm Factor規格(その3)〜800G、そしてその先へ (2/3)

[高井厚志,EE Times Japan]

(8)その他のSFP系光トランシーバーForm Factor

 データセンターでは、SFP系列と呼ばれるSFP、QSFP(QSFP+)、QSFP-DD、OSFPが主流となっている(QSFP-DDとOSFPは競争状態)。これらのForm Factorは、IPシステム、ストレージネットワークなどのデータコムはもちろん、テレコム系の装置でも局内配線に使用されている。大量生産から来る価格と入手のしやすさが、主流となった決め手だ。

 その陰で、多くのMSAのForm Factorが消えていった。MSA初期の10GトランシーバーのMSA数に比べればその数は少ないが、CDFPのように、400GトランシーバーForm Factorにおいても、市場であまり聞かれなくなったMSAがいくつかある。CDFPは、CFPの流れをくむMSAで、テレコム応用を意識した規格だ(CDとCはローマ数字でそれぞれ400と100である)。

 従来は、インフラのコストが膨大なため、まずは高速大容量が要求される長距離伝送システム向けで規格の議論が始まり、その後IPシステム向け、データセンター向けというように、時間差で技術が進化し、主に低消費電力化、小型化を目指してさまざまなForm Factorが生まれていた。

 だが最近の傾向として、いきなりデータセンターから始まる規格議論が行われるようになっている。以前のように、“数量は少なく、価格やコストよりも性能重視”の長距離伝送システム向け製品で、技術を見極める時間が無くなってきているのだ。

 そして、最近のForm Factorは、データセンターでのコンパティビリティを考慮しSFP系列を意識したものとなっているのである。

 以下に、これまで紹介できなかった、SFP系列を意識したMSAのForm Factorについて書いておきたい。上記では電気信号数が1x,4x,8xと増えているが2xもある。DSFPSFP-DDである。

 2000年代に、一芯双方向光通信(PONやBiDi)2チャンネルをSFPサイズに収納できるForm Factorとして、NECなどが中心になってDSFP MSAが結成された。

 一芯双方向光通信は、文字通り1本のファイバーで双方向光通信を行う。家庭にファイバーを接続するFTTH(Fiber To The Home)で大量に使用されている。光ファイバーを1本だけ使えばいいので、SFPの2芯光コネクターを利用し、2チャンネル(2送受信)を収納していた。カードエッジのピンアサインを工夫し、SFPとのコンパティビリティを意識した仕様となっていた。

 2018年には、20ピンから22ピンに増やし、SFPとのコンパティビリティに縛られない新しい仕様が発表されている。プレスリリースによれば、一芯双方向光通信を主な用途としている。しかし、ファイバー資産を有効利用する(=ファイバー数を増やさずにリンク数を2倍にできる)ため、データセンターへの展開も予想される。また、DSFP-DD(SFPサイズでQSFP+同等)も提案されており、注視していく必要がある。ただし、サイズに依存する許容消費電力が課題となっている。

【DSFP】

図7 DSFPモジュール例(NEC)とピンマッピング

 SFP-DDは、QSFP-DDと同じ発想でSFP+とバックワードコンパティビリティを保っている。50Gの電気信号2本を多重化し100Gの光伝送を可能とする。

【SFP-DD】

図8 SFP-DDピンマップ

 もう一つ、μQSFPを紹介する。QSFP-DDとOSFPの違いは、コネクターのピンのピッチだ。QSFPとのバックワードコンパティビリティを維持したいQSFP-DDは、QSFPと同じ0.80mmピッチを採用している。一方、OSFPでは、8xの信号を一列に並べ、10インチラック(1RU)に32個以上搭載できるように0.60mmピッチを採用している。4xにおいて0.60mmピッチを採用したのがμQSFP(Micro QSFP)である。このForm Factorは、1RUに48個搭載することが可能である。

 μQSFPに注目している理由は、ピッチ0.60mm、パタン幅0.35mmを使用すれば100G電気インタフェースが可能であり、消費電力も9Wまで抑えられるので、400G、特に4x100G光インタフェースを小型化できる可能性があるからだ。電気・光ともに、4x100Gのスマートなトランシーバーを実現できるだろう。

【μQSFP】

図9 μQSFPモジュール例(HPから)

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