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» 2020年06月30日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(45):登場し始めた安価な5Gスマホ、基板は“1層+分離”がメインに (3/3)

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]
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5Gチップセットを比較してみる

 表1は、今回報告した3機種に採用されているチップセットを比較したものである。いずれのメーカーも、1チップに統合されたプロセッサと5G通信用のトランシーバーをセット化している。通信用パワーアンプまでセット化しているのはQualcommのみ。SamsungのExynos 980には米Qorvo、MediaTekのDimensity 1000には米Skyworksの5Gパワーアンプが各々組み合わされている。

表1:2020年前半のミドルハイ 5Gプラットフォーム 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 プロセッサのパッケージにも違いがある。Qualcomm、SamsungはDRAMとNAND型フラッシュメモリが1パッケージ化されたMCM(Multi Chip Memory)に接続されるが、MediaTekはプロセッサのパッケージ上にDRAMが接続されるPOP(Package On Package)+外部NANDフラッシュという構成だ。前者が安価で後者は性能が高いという特長があるが、普及モデルではMCMの採用が多いので、今後普及価格帯の5GスマートフォンではMCMが主流になっていくものと思われる。

 表2は今回報告の各プロセッサを開封したチップ写真である。チップ内部はCPU、GPU、AIアクセラレーターと5Gベースバンドやカメラ、ビデオ、ディスプレイ部などで構成されている。

表2:2020年前半の5G機能統合プロセッサの一覧 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 チップ写真上の数字は各チップの面積を表したもの。Samsungのチップは8nmプロセスで製造されているので若干面積は大きい。最も小さいのはQualcommのチップだ。これらの数字はコストに密接に関わる(詳細説明は省略)。同じような機能を持ち、同じような製造技術を使っても、大きな面積差が存在する。半導体の世界では依然としてメーカー間、あるいは方式の間に大きな差があることが、普及価格帯の5Gスマートフォン解析からもはっきりと見て取れる。常にブラックボックス化せず、きちんと開封して「本当の姿」を見て判断することが重要だとますます実感する(弊社では法人、個人問わず常時、他調査会社よりも激安でチップ開封を承っています)。

 表3に、2020年に日本国内でキャリアから販売される5Gスマートフォンの機種、内部プラットフォームをまとめた。10機種のうち5機種は中国メーカーのスマートフォンだ。プラットフォームについては10機種全てがQualcommとなっている。

表3:2020年に日本国内で販売される5Gスマートフォン。表中の「D」「A」「S」はそれぞれNTTドコモ、au、ソフトバンクを指す 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 5Gの本格的な普及はこれからだが、5Gスマートフォンに採用されているプラットフォームは今後、自動車やIoT(モノのインターネット)の分野にも応用されていくと考えられる。弊社は引き続き、新しいプラットフォームを解析していく。

執筆:株式会社テカナリエ

 “Technology” “analyze” “everything“を組み合わせた造語を会社名とする。あらゆるものを分解してシステム構造やトレンドなどを解説するテカナリエレポートを毎週2レポート発行する。会社メンバーは長年にわたる半導体の開発・設計を経験に持ち、マーケット活動なども豊富。チップの解説から設計コンサルタントまでを行う。

 百聞は一見にしかずをモットーに年間300製品を分解、データに基づいた市場理解を推し進めている。


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