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» 2020年07月14日 13時30分 公開

薄膜型とバルク型の解析を可能に:全固体電池内部のリチウムイオン移動抵抗を可視化

パナソニックは、ファインセラミックスセンター(JFCC)および、名古屋大学未来材料・システム研究所と共同で、全固体電池の充放電中におけるリチウムイオンの動きを、ナノメートルの分解能でリアルタイムに観察する技術を開発した。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

透過電子顕微鏡と機械学習でリアルタイムに観察

 パナソニックは2020年7月、ファインセラミックスセンター(JFCC)および、名古屋大学未来材料・システム研究所と共同で、全固体電池の充放電中におけるリチウムイオンの動きを、ナノメートルの分解能でリアルタイムに観察する技術を開発したと発表した。

 全固体リチウムイオン電池は、高い安全性とエネルギー密度を実現できることから、次世代の二次電池として期待されている。今後、より高性能な電池を開発していくには、電池内部におけるリチウムイオンの動きを正確に理解する必要があるという。

 パナソニックとJFCC、名古屋大学はこれまで、薄膜型全固体電池内部におけるリチウムイオンの動きを可視化できる「オペランド透過電子顕微鏡解析技術」を共同で開発してきた。今回は、この技術をバルク型全固体電池にも応用した。併せて、画像の撮影時間を大幅に短縮した。従来は1画像当たり15分も要していたが、これを約30秒まで短くした。この結果、薄膜型とバルク型の全固体電池について、内部を流れるリチウムイオンの動きをナノメートルの空間分解能で、リアルタイムに観測できるようになった。

バルク型全固体電池内部のリチウムイオンをリアルタイムに観察した事例 (クリックで拡大) 出典:パナソニック

 バルク型全固体電池の観察を行うに当たって、透過電子顕微鏡の試料ホルダーを改良し、分析する試料についても形状の最適化を行った。これによって、バルク型全固体電池を透過電子顕微鏡内部に作り込むことに成功した。

 また、リチウム検出を行う電子エネルギー損失分光法に、スパースコーディングと呼ばれる機械学習を適用した。画像の超解像とノイズ除去を可能にしたことで、透過電子顕微鏡によるリチウムイオン分布の観察を可能にした。

薄膜型全固体電池内部について、リチウムイオンをリアルタイムに観察した事例 (クリックで拡大) 出典:パナソニック

 開発した技術を用い、リチウムイオン移動抵抗の可視化を可能にした。これにより、リチウムイオンが複雑な拡散過程を伴って充放電していることが解明された。研究成果を活用することで、内部抵抗が低い電池の設計が可能となり、高性能な全固体電池を実現できるという。

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