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半導体装置市場、現時点では輸出規制の影響は受けず2020年は前年比7.3%増の予測(1/2 ページ)

VLSI Researchは、COVID-19拡大による影響を考慮して、2020年の製造装置に関する予測を修正している。2020年の合計売上高は、前年比7.3%増となる827億米ドルの見込みだという。

» 2020年08月06日 11時30分 公開
[Barbara JorgensenEE Times]

 半導体機器メーカーは、米国と中国の間で技術をめぐる冷戦が激化し、半導体チップ市場の崩壊や国家間の経済分断などが懸念される中で、これまでほとんど沈黙を守ってきた。

 米国は2020年5月に、中国に対する貿易規制を強化し、米国製装置を使用している半導体メーカーに対して、米国のブラックリストに登録されているメーカー/事業体に製品を販売する場合に、専用のライセンスを取得することを義務付けた。中国ネットワークの巨人であるHuaweiは、そのエンティティリストのトップに掲載されている。

 半導体製造装置および材料の業界団体であるSEMIの広報担当者は、「新しい規制対象は、Huaweiとその関連会社を特定対象としている。米国で設計されたソフトウェアや米国製の製造ツールを直接使用した特定の半導体設計/デバイスを、Huaweiとその関連企業に譲渡する際には、ライセンス要件が課される。米国製のソフトウェアや製造ツールそのものに関しては、新しいライセンス要件が課されることはない」と述べている。

 しかしこれにより、半導体装置業界に大規模な影響が及ぶことが明らかになった。米国メーカーは既に、中国軍(人民解放軍)や中国政府との関係がある事業体に対する機密技術の販売を禁じられている。新しい規則では、“軍事最終用途”の範囲が拡大されている。

 全体的に見ると、米国の輸出規制によって、中国の半導体メーカーに対する生産設備の販売が鈍化していく可能性がある。

 またSEMIは、「輸出規制は、米国製装置の直接製品に対して独自のライセンス要件を課す一方で、他の主要な貿易相手国の同レベルの機器の直接製品には適用されないため、米国製装置に対する調達意欲が阻害される可能性がある」と付け加えた。

 本記事を執筆するにあたりインタビューを行った複数の大手機器メーカーは、最初はこの新しい措置に賛同する意向を示していたが、その後方向転換したり、追加要件への対応を見送ったりなどしている。一部の企業は、決算前の沈黙期間(quiet period)だったのでコメントを取れなかったが、これはかなり政治色の強い議題だといえる。米国は、中国が自国の半導体分野における野望を高められるような技術にアクセスすることを、必死に阻止したいようだ。

 米国の市場調査会社であるVLSI Researchのプレジデントを務めるRisto Puhakka氏は、「半導体装置メーカーは今のところ、貿易戦争をうまく切り抜けている。業界は全体的に、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大によってサプライチェーンで問題が発生している中、うまく対応できているようだ」と述べる。

 また同氏は、「米国輸出規制のライセンスの申請手続きはかなり面倒だが、今のところ、ライセンスが認められなかったケースは1件もない。政府は現在、情報を収集している段階で、装置メーカーは新しい規則に対応するための調整を進めているところだという。一般的には、『面倒なこと』として認識されているようだ」と述べる。

 SEMIは、「米国輸出規制に対して意図的に違反した場合の罰則規定は、かなり厳格化される可能性がある。その施行を監視するのは、米商務省産業安全保障局である」と述べている。

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