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» 2020年08月25日 10時00分 公開

レーダーは手軽に使える身近なセンサー!:スマホにも搭載「高分解能60GHzレーダー」に迫る

2.14cmという距離分解能で、人や物体を検出できる「60GHzレーダー」をご存じだろうか。各国の法整備が進み、新たに利用できるようになった周波数帯のレーダーで、指先に乗るような超小型の対応デバイスも登場。既に大手ブランドのスマートフォンにも搭載されるなど、これからさまざまな機器のセンサーとして搭載されるだろう60GHzレーダーを紹介する。

[PR/EE Times Japan]
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 もはやレーダーは、さまざまな用途で気軽に使える身近な小型センサーだ。

 レーダーと聞けば、航空機や船舶で周囲を監視するシステムや、気象観測システムなどを思い浮かべる方が多いだろう。最近では、先進運転支援システム(ADAS)を実現するセンサーの1つとして自動車に搭載されており、車載センサーというイメージを持つ方も増えているだろう。いずれにしてもレーダーは、ちょっと特殊で、大きく、そして高価というイメージを抱く方がほとんどだろう。

 しかし、そのようなレーダーのイメージはもう過去のものだ。レーダーは「さまざまな用途で気軽に使える身近な小型センサー」へと大きな変ぼうを遂げているのだ。既に、指先に乗るような超小型レーダーデバイスが登場。大手ブランドの最新スマートフォンが超小型レーダーデバイスを応用して、新たなユーザーインタフェース「ジェスチャー操作」を実現している。ジェスチャー操作以外にも、レーダーが身近な小型センサーとして使用できるようになることで、さまざまなアプリケーションで多様な機能をすることが期待されている。

マッチ棒の先端ほどの大きさの超小型レーダーデバイス。レーダーの在り方を大きく変える可能性を持つデバイスとして注目を集めている

 電波を照射し、その反射波から、人や物体までの距離や方向を検出するレーダーの応用は、単に人感センサーや物体検出センサーにとどまらない。連続的に人や物体を検出することで、動きを捉えることが可能だ。また“電波”を使うセンシングなので、暗闇でも人や物体を捉えることができる上、毛布越しの人の動きなど物体を透過した検出もできる。人の目を超えた“目”を実現できるセンサーがレーダーだ。なお、人の目の代わりとなるセンサーとしてはイメージセンサーがあるが、暗闇でのセンシングは不得手で、赤外光など特殊な光源を必要とする場合がある。赤外光などは熱に弱く、使用環境を選ぶため、レーダーでなければならないセンシング用途も多いわけだ。

 こうした人の目を超えた“目”であるレーダーだが、これまでは、あまり距離分解能、すなわち検出精度を高めることができないという課題を抱えた。

高分解能レーダー「60GHzレーダー」の登場

 レーダーの距離分解能は、使用する電波の周波数帯域を広げることで高められる。しかし無線通信需要が急増し、世界的に電波帯域がひっ迫、枯渇する中で、レーダーに使用できる周波数帯域は一部に限られてきた。例えば、日本の場合であれば、レーダーが使用できる帯域幅は24GHz帯の200MHz幅で、距離分解能は75cm(理論値)にとどまった。75cmという距離分解能は人の肩幅程度もあり、人と人の切り分けができるかできないかというレベルだ。

 そうした中で、ADASや自動運転の実現に向けた開発が活発化するに連れ、ADAS/自動運転に必須のレーダーをより活用しやすい環境整備への機運が高まり、世界各国で77GHz帯や79GHz帯といった周波数帯域をレーダーに割り当てる法整備が進んでいった。これら77/79GHz帯は、これまでよりも広い帯域幅が割り当てられ、日本では79GHz帯で4GHz幅が使用できるようになり、距離分解能3.75cmを実現できるようになった。ただ、広帯域が使用できる77/79GHz帯も欧米では利用用途が自動車での車外センシング用途のみに限定され、民生機器や産業機器はもとより、自動車内で使用することもできないという制限があった。

 距離分解能の高いレーダーへのニーズはADAS/自動運転にとどまらず、スマートフォンメーカーなどの働き掛けにより、用途を問わず使用できる汎用的なレーダー用の周波数帯として「60GHz帯」の周波数割り当てが各国で行われている。既に、欧米、中国、韓国などで利用可能になっている他、日本でも2020年1月に電波法が改正され、60GHz帯の利用が可能になった。60GHz帯で利用可能な帯域幅は7GHz幅(中国など一部地域では5GHz幅)であり、77/79GHz帯をしのぐ距離分解能2.14cmを実現できる帯域幅だ。2.14cmという距離分解能は、指の動きを捉えることができるレベル。また絶対的な距離測定ではなく、相対的な動きの検知であれば、ミリ単位の動きを検出できるレベルであり、レーダーの応用範囲は従来以上に広がったわけだ。

60GHzレーダーの概要。

60GHzレーダーを実現する超小型高性能デバイスの存在

 こうした法整備による60GHzレーダーの解禁とともに、レーダーをより身近なセンサーへと導く出来事が起こった。それが冒頭に紹介した超小型レーダーデバイスの登場だ。

 この超小型レーダーデバイスは、インフィニオン テクノロジーズ(以下、インフィニオン)が開発したもの。インフィニオンは、人の五感(視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚)を置き換える高精度スマートセンサーの開発に注力しており、MEMSマイクや大気圧センサー、ガスセンサー、ToF(Time of Flight)センサーなどとともに、古くからレーダーデバイスを開発。自動車向けの77/79GHzレーダーでも高精度、高信頼を実現したデバイスを数多く提供しており、そうした実績、ノウハウを応用し、超小型サイズの60GHzレーダーデバイスを実現した。

 5.0×6.5mmという超小型サイズながら、RF回路を含むトランシーバー機能以外に合計4個の送受信用アンテナをパッケージ内に集積。これまでレーダーを機器に組み込む場合に必須だった高度な高周波回路設計技術などが不要で「MEMSマイクや大気圧センサーなど他のセンサーデバイスと同じような感覚で設計できる」(インフィニオン)という。

スマホから産業分野、自動車分野まで、あらゆる用途で

 法整備と、簡単に扱える超小型デバイスの登場により、身近なセンサーとして普及が期待される60GHzレーダー。その応用範囲はとても広い。既に搭載が始まっているスマートフォンの他、ウェアラブル機器などあらゆるポータブルデバイスで、非接触型のジェスチャーUIを実現していく見込みだ。

60GHzレーダーの応用が見込まれる主なアプリケーション

 また、従来、赤外線センサーなどで実現したテレビやエアコンなどの人感センサーも60GHzレーダーが置き換えていく可能性が高い。60GHzレーダーであれば、人の有無だけでなく、人数や位置、動きを検出することが可能であり、より付加価値の高い機能実現に貢献するためだ。

 産業分野でも、産業用ロボットやビルディングオートメーション、サービスロボットなど人の目を超えた“目”を求めるアプリケーションは多くあり、応用が広がる見込みだ。

 ミリ単位というわずかな動きを検知できる60GHzレーダーは、心拍数や呼吸数を非接触で取得するバイタルセンサーとしても応用できる。さらには「物体から反射する電波の物質によるわずかな違いを60GHzレーダーで検知して、木材、金属、樹脂など素材の違いを見分けるようなシステムの研究開発も進んでいる」という。

 数多くの応用が見込まれる中「60GHzレーダーの利点を生かしやすく、特に引き合いが強い」というアプリケーションが、車内監視用途だという。自動車内に置き去りにされた子どもが亡くなるという不幸な事件が後を絶たない中、車内監視システムの搭載が安全機能として評価される方向にあり、そうした車内監視システムに60GHzレーダーが最適なためだ。

 車内はご存じの通り、高温になり、赤外線センサーの使用は難しい。またCMOSイメージセンサーでは夜間の撮影が難しいほか、死角なく車内を監視するには複数のセンサーを設置する必要がある。また、ブランケットを被った乳児を検出するといったことも難しい。これに対し、60GHzレーダーであれば、熱や光の影響を受けず、常時監視できる他、レーダーの特長である透過性を生かし、ブランケット越しを含め、死角なく、人を検出することができる。まさに、車内監視システムは、60GHzレーダーにうってつけのアプリケーションだ。

60GHzレーダーで実現できる主な機能

専門知識は一切不要! 他のセンサーと同じ感覚で設計できる

 インフィニオンでは、こうしたさまざまなアプリケーションでの60GHzレーダーの普及促進を目指して、超小型60GHzレーダーデバイスを搭載した機器開発を支援すべく、サポート体制の強化や、開発環境の提供を実施している。

 開発環境としては、すぐにレーダーデバイスの評価が行えるリファレンスボードをはじめ、ソフトウェア開発キット(SDK)も提供している。現時点で提供しているSDKは、人感センシングソフトウェアと位置検出ソフトウェアの2種。人感センシングソフトウェアは、立っている人を検知するような一般的なセンシングモード(マクロモード)とともに、座っている人の細かな動きを検出するマイクロモードの2つのセンシングモードに対応。60GHzレーダーの高い精度を生かしたソフトウェアを手軽に開発できる環境が整っており、「今後もさまざまなSDKを用意していく」という。

インフィニオンが提供するリファレンスボード(左)および、人感センシング用SDKの概要 (クリックで拡大)

 また、インフィニオンでは、開発評価キットの提供にとどまらず、無線モジュールメーカーと連携して、技術基準適合証明を取得済みですぐに機器に組み込むことのできるターンキー・モジュール製品を開発する計画。RFの知識が全くなくても、手軽にレーダーを機器に組み込むことのできる環境が整う見通しだ。

 さらに、60GHzレーダーの認知向上を目指して、60GHzレーダーを応用した入退室管理ゲートデモソリューションも開発中だ。「コロナ禍で、さまざまな場面で非接触へのニーズが高まっている。カメラでも非接触での検出は可能だが、プライバシーの問題を抱えている。60GHzレーダーであれば、プライバシーを守りながら人の動きを検出できる。そうした利点を伝えるため、入退室管理ゲートデモソリューションを開発している。

入退室管理ゲートデモソリューションのイメージ。ゲートの脇や上部に60GHzレーダーモジュールを取り付け、非接触で入退室を検知する

 今後も、60GHzレーダーのユニークな応用方法を提案するため、さまざまなソリューションを開発する予定」とし、専門知識がなくても、気軽に使えるようになったレーダーの普及を推進していく構えだ。

60GHzレーダーの詳細はインフィニオン テクノロジーズ ジャパン株式会社の専用アドレスIFJ-PSS-BD@infineon.comにメールでお問合せください。

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提供:インフィニオン テクノロジーズジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2020年8月31日

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