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» 2020年08月27日 11時30分 公開

光伝送技術を知る(12) 光トランシーバー徹底解説(6):光トランシーバーForm Factorの新動向(1) 〜“Beyond 400G”の議論が活発に (4/4)

[高井厚志,EE Times Japan]
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(3)消費電力

 よく指摘されているのが消費電力である。スイッチICとトランシーバーの配線のための入出力回路の消費電力とFront Panelの冷却能力の問題が指摘されている。

 図7はFacebookが発表した図である。このままPluggableで進むと、51.2Tではシャシの許容消費電力(1750W)を超えてしまう(図中右から2番目の棒グラフ)。このため、Pluggableから、後で述べるCo-packaged Optics(CPO)に移行して許容内に収めるという方向性を示したものだ。図7では、インタフェースをOIFのCEI-LR/VSRからCEI-XSRに変更することで、入出力消費電力が30-40%低減できるとしている(空色と黄緑の部分)。

図7 スイッチICとOpticsを含むPCB消費電力(by Facebook)

 スイッチICはさておき、光トランシーバーの全消費電力はどう増えているのだろうか。図8は、2017年にGoogleが学会発表した消費電力のトレンドに、筆者が400Gのデータを追加したものである。データセンター内ネットワーク向け光トランシーバーの1bit/s当たりの消費電力を、年ごとにプロットした。10年ごとに10分の1に低減するトレンドとなっている。これは3年で2分の1倍である。3世代6年を考えるとスイッチ容量は8倍に対し、1bit/s当たりの消費電力は4分の1、つまりトランシーバーの全消費電力は2倍となっている。消費電力が問題になることは明白である。

図8 1ビット当たりのトランシーバーの消費電力

 図7や図8から、102.4Tでは、現在の技術では消費電力が破綻することは容易に想像できる。解決法の一つは、シャシの消費電力上限を引き上げる技術開発である。だが、いくつかの制限があり、データセンターの電力消費が社会問題化している中では、最後の手段と考えられる。また、冷却系はバックサイドにあり、フロントパネルに搭載されるPluggableは冷却条件が悪い。これら消費電力の問題から、Front Panel Pluggableから次世代の光インタフェース構造に移行する方が良いと考える人もいる。

 ところで、入出力回路消費電力に関係する、図7中の「VSR」「LR」「XSR」というのは、OIFのCommon Electric Interface(CEI)のインタフェースの種類である。51.2Tを見ていただければ分かるが、スイッチICはLR、光トランシーバーはVSR、CPOはXSRという電気インタフェースを使用する。図9に56GのCEIを示す。接続距離が1cmから100cmの5種類あり、接続距離が長くなるほど消費電力は大きくなる。

図9 OIFの電気インタフェースCEI-56G

 赤色の接続距離10cmが光トランシーバーで使用されているVSRである。ところが、データセンターでは光接続だけではない。ラック内配線は価格の安い電気ケーブル、Direct Attach Cable(DAC)が使用されている。DACは両端のコネクターを光トランシーバーのケージに挿して、電気ケーブルが直接スイッチICの入出力に接続されて使用できるように設計されている。

 このDACのインタフェースが、紫色で示されている接続距離100cmのLRであり、スイッチICはVSRとLRの両方をサポートしている。図7の51.2Tのところで顕著に見える、スイッチICのLR入出力回路の消費電力(黄緑色)が、光トランシーバーのVSR入出力回路の消費電力(空色)より大きいのはこれが原因である。

 ちなみに、XSRはMulti-Chip Module(MCM)などのインタフェースで5cm以内の光トランシーバーとの接続に用いられる。CPOではXSRを使用する。それによりスイッチICと光トランシーバーの入出力回路の電力を小さくすることができる。

 このように電気インタフェースの消費電力が許容を超えるため、FP Pluggableから消費電力の小さい電気インタフェースで実現できる方式に移行しようというのである。

(次回に続く)


筆者プロフィール

高井 厚志(たかい あつし)

 30年以上にわたり、さまざまな光伝送デバイス・モジュールの研究開発などに携わる。光通信分野において、研究、設計、開発、製造、マーケティング、事業戦略に従事した他、事業部長やCTO(最高技術責任者)にも就任。多くの経験とスキルを積み重ねてきた。

 日立製作所から米Opnext(オプネクスト)に異動。さらに、Opnextと米Oclaro(オクラロ)の買収合併により、Oclaroに移る。Opnext/Oclaro時代はシリコンバレーに駐在し、エキサイティングな毎日を楽しんだ。

 さらに、その時々の日米欧中の先端企業と協働および共創で、新製品の開発や新市場の開拓を行ってきた。関連分野のさまざまな学会や標準化にも幅広く貢献。現在はコンサルタントとして活動中である。


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