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» 2020年08月31日 10時00分 公開

日本テキサス・インスツルメンツ 社長兼営業・技術本部長 Samuel Vicari氏:コロナ禍にも揺るがず安定供給/充実サポートを続けるTI

Texas Instruments(以下、TI)は、注力する産業機器市場/自動車市場に対し、広範なアナログ半導体および、組み込みプロセッシング製品群をベースにしたソリューション提案を強める方針。日本市場における事業/製品展開方針について、同社日本法人(日本テキサス・インスツルメンツ)の社長兼営業・技術本部長を務めるSamuel Vicari氏に聞いた。

[PR/EE Times Japan]
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4つの強み ―― 製品群、製造、サポート、技術開発

――まずは日本市場での状況についてお聞かせください。

Samuel Vicari氏 Texas Instruments(以下、TI)は産業機器および車載市場に注力しており、これらの分野で多くのグローバル・リーダーがいる日本市場は、TIにとって重要だ。今年はコロナ禍によって、ご存じの通り、自動車市場が大きく影響を受けており、われわれの車載向けビジネスもマイナスの影響を受けた。

 一方で、新型コロナウイルスの世界的感染拡大に伴い医療機器向け製品への需要は急拡大しているということもある。

 いずれにしても、あまり短期的な需要変動に一喜一憂せず、長期的な視点を持って事業を運営していくことを意識している。

――TIの強みについてどのように分析されていますか。

Vicari氏 TIの強みは、「製品群」「製造」「サポート」「技術開発」の4つ。いずれも日本市場において重要と考えている。

 まず「製品群」については、パワーマネジメント、シグナルチェーンといったアナログ領域および、コネクティビティやプロセッサ、マイコンといった組み込みプロセッシング領域をフルにカバーする、広範な製品群は最大の強みだろう。幅広い製品群があることで、コンプリートソリューションを提供できている。

アナログ/組み込みプロセッシング領域をくまなくカバーするTIの製品群イメージ (クリックで拡大)

 われわれが目指しているのは、お客さまにとってのワンストップショップ。お客さまがやりとりするサプライヤーの数をできるだけ減らして日常業務をよりシンプルにできるようにしていきたい。幅広い製品群を持つという強みを生かすことで、お客さまの要件を、より理解できるようになる。これが、TIの次なるイノベーション、技術開発につながり、お客さまが抱える設計上の課題を解決することに貢献できると考えている。

複数の拠点で同じ製品を製造する「マルチソース体制」で安定供給

――2つ目の「製造」についてはいかがですか。生産、製品供給面でのコロナ禍の影響はありましたか?

Vicari氏 TIは、製造を他社との差別化要因と位置付けて、継続した投資を行っている。自社で製造設備を持つことにより品質/信頼性、コストをコントロールできる利点がある。そして、製品供給についてもコントロールできるという利点もある。

 TIでは、絶えず製品を供給できるよう世界中に、製造拠点を持ち、あらゆる製品を2つの製造拠点以上で生産できる『マルチソース体制』を整えてきた。

 ここ半年間は、世界各地で新型コロナウイルス感染拡大の影響が生じたが、こうしたグローバルな製造拠点ネットワーク、マルチソース体制により、柔軟な対応が行え、供給を継続することができた。製品調達にお困りだったお客さまの事業継続計画(BCP)に貢献できたケースも少なくなかった。

Texas Instrumentsの製造拠点網 (クリックで拡大)

 今後も、マルチソース体制で高品質/高信頼性の製品を安定的に供給できるよう製造面への投資を継続していく。特に直近では、アナログ製品の300mmウエハー生産比率を高めることを重視している。

オフライン/オンライン問わず、充実したサポート

――3つ目の「営業/サポート活動」の状況についてはいかがですか。

Vicari氏 可能な限り、お客さまの近くでサポートを提供することを目指し、日本全国に7カ所の営業拠点を展開し、営業/サポート活動を実施している。さらに近年では、24時間、365日、お客さまにさまざまな情報、サービスを提供するためにオンラインサポートの拡充を図ってきていた。

 コロナ禍で、直接、お会いしてサポートを提供することが難しい状況が生じたが、オンラインサポート体制が整っていたことで途切れることなく営業/サポートが行えている。

――オンラインサポート体制について、もう少し詳しく教えてください。

Vicari氏 お客さまの設計開発のあらゆる段階に応じたサポートを提供できるようになっている。

 アナログ、組み込みプロセッシング領域におけるTIの広範な製品ラインアップをベースにしたテスト済みの完全なリファレンスデザインを数千種用意しているのをはじめ、さまざまな方法で製品検索、選択が行える環境が整っている。

オンライン、オフラインを問わずさまざまなサポートサービスを提供 (クリックで拡大)

 各種技術文書の他、コストや消費電力、サイズなど所望の条件を入力して回路設計/シミュレーションが行えるなどの設計支援ツールの提供や、信頼性データのダウンロードが可能だ。

 またWebで選択した製品はもとより、手元のBOM(Bill of Material)リストをアップロードいただければ、Webで1個から製品を注文いただけるようにもなっている。最近では、カスタムリールでの販売についても、Webで対応できるようになり、多くのお客さまにご利用いただいている。

――4つ目の「技術開発」の状況はいかがでしょうか?

Vicari氏 長期的な視野に立って進めており、今年のような厳しい状況下でも、研究開発や生産設備への積極的な投資を継続していく。研究開発費については、今年度も、売上高の10%以上を投入し、製品/技術開発のスピードを緩めない。

電力密度、高精度など各設計トレンドに対応

――2020年後半に向けて、注力事業領域で提案を強化される技術/製品について教えてください。

Vicari氏 パワーマネジメント領域では、低EMI、電力密度、低静止電流、低ノイズ、絶縁機能などが求められており、こうしたトレンドに対応していく。例えば、昇降圧バッテリーチャージャー「BQ25790」「BQ25792」は、155mW/mm2という競合製品に比べて2倍の電力密度を実現した。スイッチングMOSFET、バッテリーFET、電流センシング回路、デュアル入力セレクターなどの部品を統合し、BOMを削減できるといった特長で極めて高い競争力がある。

 シグナルチェーン領域では、小型化、高速動作、高精度、低消費電力化、絶縁機能という設計トレンドに応じた製品展開を進めていく。そうした取り組みを象徴する代表的な製品の1つに電流センサーIC「TMCS1100」「TMCS1101」がある。この製品は、ホール素子効果を利用した電流センサーICなのだが、独自回路アーキテクチャーとリアルタイム感度補償を適用したことで、ゼロドリフトを実現して総合誤差を最大±1〜1.5%に抑えた点が最大の特長だ。

――組み込みプロセッシング領域ではどのような設計トレンドに対応していく方針ですか?

Vicari氏 先進運転支援システム(ADAS)に代表されるように各種システムが高度化する中、組み込みプロセッシングには、集積度の向上、高性能化、高効率なデータ処理、コネクティビティ、そしてソフトウェアの再利用性の向上などが求められている。

 ソフトウェアの再利用性の向上に向けては、スケーラビリティなプラットフォームを提供している。例えば、有線/無線マイコンシリーズ「SimpleLink」では、共通化された専用のSDK(ソフトウェア開発キット)によって、SimpleLinkの製品ラインアップ全体にわたり、完全なアプリケーションコードの互換性を実現している。ADASや車載ゲートウェイ向けの車載SoC(System on Chip)プラットフォーム「Jacinto 7」の「TDA4VM」「DRA829V」では、単一のソフトウェアプラットフォームを共有することで、車載関連の開発においてソフトウェアを再利用できるようにしている。

機能安全適合支援など設計開発プロセスを通じてサポート

――車載市場、産業機器市場に向けた製品が充実していますね。

Vicari氏 TIの価値提案は製品提供だけにとどまらない。お客さまが設計開発に要する時間、市場投入期間を短縮するためのサポートもしっかりと提供していく。

 われわれがフォーカスする車載市場および、産業機器市場のお客さまの市場投入期間を短縮するために特に重要だと考えているのが、高度な安全性を実現するための設計開発プロセスを通じたサポートだ。ASIL-Dなど高度な機能安全規格をはじめ、各種信頼性/品質の標準規格に適合できるサポート体制を整えている。

車載、産業機器市場にフォーカスし、機能安全対応などの市場ニーズに応える(クリックで拡大)

――最後に、日本での今後の注力分野と日本のお客さまのニーズに対応した戦略を遂行する上でのTIの強みを教えてください。

Vicari氏 すでに述べたように、特に産業機器分野自動車分野への展開に主な焦点を充てていく。日本市場の産業機器分野、自動車分野に対し包括的なTIのソリューションを基礎に最新のテクノロジー、イノベーションを提供していくことにより、2020年後半も引き続き、日本のお客さまが求める設計ニーズに沿った技術/製品を提案していく。また、今回の新型コロナウイルスの世界的蔓延で明らかになったように、安定した供給体制を求める日本のお客さまに対し、安定供給の継続を確保するTIのBCP戦略がますます重要になると確信している。


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提供:日本テキサス・インスツルメンツ合同会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2020年9月30日

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