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» 2020年08月25日 13時00分 公開

Foxconnが製造拠点を中国外へ:米中サプライチェーンの分断が深刻化 (1/2)

台湾Foxconnは2020年8月、米中間で貿易戦争が激化している影響を受け、現在中国に置いている生産拠点を海外に移転する予定であることを明らかにした。

[Alan Patterson,EE Times]

Foxconnが製造拠点を中国外へ

 台湾Foxconnは2020年8月、米中間で貿易戦争が激化している影響を受け、現在中国に置いている生産拠点を海外に移転する予定であることを明らかにした。

 Foxconnは、中国国内で100万人以上の従業員を抱え、Appleの「iPhone」やDellのサーバ、任天堂のゲーム機などを製造している。Foxconnの今回の移転発表は、2020年における同社の業績が好調であるということを示している。

FoxconnのYoung Liu氏

 FoxconnのチェアマンであるYoung Liu氏は、2020年8月12日に台湾 台北で行われた同社の四半期業績を発表するイベントにおいて、「中国が世界の工場として機能する時代は終わった。インドや東南アジア、米国など、世界中のどの国にも、それぞれ製造エコシステムが構築されるようになるだろう」と述べている。

 FoxconnやQuanta、Pegatronなどの台湾のエレクトロニクスメーカーは、これまで中国に置いていた製造拠点を、台湾やベトナム、インドなどの新工場に移転させる動きを先導することにより、コストを削減して米国関税を回避していきたい考えだ。その一方で、セキュリティや知的所有権に関する懸念への対処も進めているという。

 Reuters(ロイター通信)が2020年7月11日に報じたところによると、Foxconnは、AppleのiPhoneを製造している南インド工場に最大10億米ドルを投じ、拡張工事を行う予定だという。Appleが、iPhoneの製造拠点を中国国外に移転させたいと考えたためだ。

 かつてTSMCで主席法律顧問を務めた経歴を持つRichard Thurston氏は、「AppleやGoogleをはじめとするさまざまなハイテクメーカーにとって、世界サプライチェーンの保護は非常に重要である。台湾メーカーは、米国の輸出規制に違反した場合に想定される批判や、潜在的な刑罰、罰金、貿易規制などを回避する必要がある」と述べている。

 台湾DigitimesのチェアマンであるColley Huang氏は、2020年7月29日に行われたイベントにおいて、「ノートPCは、これまで全て中国国内で生産されていたが、その生産台数は今後3年間で半分に落ち込む見込みだ」と述べる。

 また同氏は、「3年後の2023年には、世界ノートPC生産台数全体の約30%をベトナムが占め、台湾が20%、タイが約15%と続くだろう。このような生産拠点の移転が、メガトレンドになる」と述べている。

いずれは2つの標準に

 Digitimesの創設メンバーには、TSMCをはじめ、台湾の大手エレクトロニクスメーカー各社が名を連ねる。世界サプライチェーンのクライアントに向けて、技術動向などの情報を提供している市場調査会社だ。

 Huang氏によると、多国籍製造業企業が中国からの移転を進める中、世界最大の人口を誇る中国は、独自の統合型サプライチェーンの構築を推進しているという。

 同氏は、「中国は、自らの手で独自の産業を構築しようとしている。中国は過去20年間にわたり、多国籍企業を歓迎してきたが、今後数年から数十年のうちに、中国企業が自ら製造を手掛けるべきだとして拒否するようになるだろう」と述べる。

 また、「中国と米国は、それぞれのサプライチェーンを完全に分割して、最終的には両国とも独自に製造装置やソフトウェア、半導体、システムなどを生産するようになるのではないか」とする声もある。

 さらに、アジア最大規模の政府系ファンドでファンドマネジャーを務める人物は、匿名を条件にインタビューに応じ、「いずれ、2つの標準が存在することになるだろう。現在も、かつてないほどそれに近い状況になってきた。中国と米国は、互いに信頼を失ってしまっている」と述べる。

 また、TSMCなどのアジアの大手技術メーカーの株主である投資家は、「米国は、中国の勢いを減速させることはできても、米国が大きな再起を遂げない限り、長期的には無駄な取り組みとなるだろう」と述べる。

 Huang氏はDigitimesと共に、台湾メーカーにとってのエレクトロニクス大使としての役割を担い、新しい製造拠点としてのアジア諸国の評価を行っているという。同氏は、「トップレベルの政府関係者たちと現地で会合を開き、投資の可能性について話し合いを進めている」と述べている。

 投資対象としての可能性を秘める分野の一つとして挙げられるのが、自動車市場だ。中国は、国内の自動車メーカーだけでなく、VolkswagenやGM(General Motors)などの多国籍企業向けにも自動車を生産しており、世界の自動車生産台数全体の約3分の1を占めている。

 Huang氏は、「中国は電気自動車市場でも、全世界の約半分を生産しており、今後も引き続き重要な役割を担っていくだろう。電気自動車向けバッテリーメーカーの世界ランキングでは、トップ10社のうち6社が中国メーカーだ」と述べる。

 また同氏は、「GMは、インドやベトナムをはじめ、特にアジアの国々に製造拠点を移転していく予定だ。台湾メーカーは、かつて中国でコンピュータやスマートフォン関連のサプライチェーンを構築した時と同様に、自動車メーカーがアジアで勢力を拡大していくのをサポートすることができるはずだ」と述べる。

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