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» 2020年08月25日 13時30分 公開

膨大なデータセットの追加は不要:極暗所でも画像認識が可能な深層学習手法を開発

ソシオネクストは大阪大学と共同で、極めて暗い場所でも画像認識が可能な深層学習の手法を開発した。膨大なデータセットを準備しなくても、高精度の検知が可能となる。

[馬本隆綱,EE Times Japan]

既存のデータセットを用い所望の画像認識モデルを構築

 ソシオネクストは2020年8月、大阪大学データビリティフロンティア機構の長原一教授らによる研究グループと共同で、極めて暗い場所でも画像認識が可能な深層学習の手法を開発したと発表した。膨大なデータセットを準備しなくても、高精度の検知が可能となる。

 車載カメラや監視カメラなどの用途では、暗い撮影環境においても、高い認識性能が求められている。こうした要求に応えるため、イメージセンサーのRAW画像を活用した深層学習「Learning to See in the Dark」などが注目されている。ところが、この学習には、20万枚以上の画像や150万個以上の物体ラベル(教師情報)など、膨大なデータセットを追加する必要があった。

「Learning to See in the Dark」とRAW画像認識の課題 (クリックで拡大) 出典:ソシオネクスト

 研究グループは今回、ドメイン適応(Domain Adaptation)手法を新たに提案した。既存のデータセットを用い、転移学習や知識の蒸留といった機械学習の手法を活用して、所望の画像認識モデルを構築する方法である。この手法を用いると、追加のデータセットを準備する必要がないという。

 この手法は大きく分けて、「既存データセットによる推論モデルの構築」「転移学習による推論モデルの知識抽出」「Glue layerによるモデル融合」そして、「知識の蒸留による学習用生成モデルの構築」からなる。

開発したドメイン適応手法 (クリックで拡大) 出典:ソシオネクスト

 開発したドメイン適応手法を用い、極暗所で撮影したRAW画像による物体検出モデル「YOLO(You Only Look Once) in the Dark」を構築した。この結果、既存のYOLOモデルで画像の明度補正をしても検出できなかったものが、RAW画像を直接認識することにより正常に検出できた。しかも、認識に必要な処理量は、従来モデルを組み合わせる時の約半分で済むという。

左は既存のYOLOモデル+明度補正、中央はYOLO in the Darkにより正常に検出、右は従来モデルを組み合わせた検出例 (クリックで拡大) 出典:ソシオネクスト

 ソシオネクストは、開発した技術と自社のISP(イメージシグナルプロセッサ)を組み合わせた画像処理SoCやこれを搭載したカメラシステムの開発などを行う。そして開発したソリューションを車載機器やセキュリティ機器、産業機器などにおける高度な画像認識用途に提供していく予定である。

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