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» 2020年10月12日 12時10分 公開

「スマホの多眼化」がコロナ禍を吸収?イメージセンサー市場の未来はOMDIAのアナリストに聞く(2/4 ページ)

[永山準,EE Times Japan]

多眼化の急加速、2020年のスマホ低迷影響も吸収

 イメージセンサーは今後、スマホ市場の成長率を大きく上回る形で拡大していくことが予測されている。OMDIAによると、仮に2020年のスマホ出荷台数が前年比13.2%減となったとしても、イメージセンサー全体の出荷台数は前年比横ばい、あるいは微増になる見込みだ。そして2020〜2030年の間、年平均成長率(CAGR)5.3%で成長を続け、2026年ごろには年間出荷台数が100億個を突破するという。

 この要因として特に強調されているのが、複数のカメラを搭載することで高品質を図る「多眼化」トレンドの進行だ。多眼化トレンドは2019年ごろから急加速した。OMDIAの調査によると、スマホ1台に2つ以上のカメラを搭載したモデルは2018年には全体の半数以下だったが、2020年には約8割を占めることが予測されている。カメラ3つ以上のモデルに限定しても2020年には市場の5割を超える見込みだといい、李氏は、「市場がレッドオーシャンに入ってきた中、各社シェアの奪い合いのための戦略が重要になっている。その一端を担うのがカメラであり、すでに市場ではカメラが複数搭載されていなければ購買層を刺激しなくなってきた」と説明している。

 なお、2019年のスマホ出荷台数シェアでは1位がSamsungの21%、2位がHuaweiの17%、3位がAppleの14%で、その後Xiaomiが9%、OPPOが8%と続いており、トップ5社のうち3社が中国メーカーという結果になっている。この傾向はトップシェア争いだけに止まらず、2019年は出荷台数全体の57%を中国メーカーが占めるなど急拡大している。これら中国勢こそが、多眼化トレンドを推し進めた立役者だ。

 特にその動きが早かったのがHuaweiで、2017年第4四半期には自社スマホの半分を2個以上のカメラ搭載モデルにしている。HuaweiとXiaomi、OPPOそしてVivoの中国メーカー上位4社のマルチカメラ搭載割合は2019年第3四半期時点で8割を突破しているのだという。この動きに引きずられる形で、シェア1位のSamsungがマルチカメラ搭載率を急速に上げたほか、Appleも「iPhone X/XS」からマルチカメラを採用。多眼化が業界のメガトレンドとなった。既に現在では3個以上のカメラがトレンドとなっており、2020年第1四半期には、中国の上位4社およびSamsungのスマホの60%超が3つ以上のカメラを搭載したモデルとなっている。

Appleも「iPhone 11」シリーズからついに3眼を導入した 出典:Apple

 李氏は「このトレンドが、イメージセンサー需要がまだ10年位は安定に推移するという予測に結びついている。2020年のスマホ市場自体が減少したとしても、スマホ向けカメラの需要は減らない。COVID-19の需要減は十分に吸収するくらいの旺盛な伸びがある」と強調した。

 李氏は、「スマホ向け」カメラの高画素化の限界についても言及。「本来であればカメラ1つでさらに高画素化が進めばよいが、残念ながら現状は20Mピクセル程度がスマホ搭載可能なフォームファクタの中では限界だ。これは半導体設計の限界という意味ではなく、レンズの限界が来たということ。レンズの集光範囲をピクセルサイズの小型化が上回り、さらなる高画素化をしても、適切に光を入れ切ることができない。そのため、2個、3個と多眼化に進まざるを得ない状況になった」と説明している。

 スマホ向けイメージセンサーの高画素化については、Samsungが108Mピクセルのイメージセンサー「Samsung ISOCELL Bright HMX」を開発し、供給を進めている。しかし、李氏は、「億単位の画素のイメージセンサーであれば、Samsungより数年早くSTMicroelectronicsや日系メーカーが衛星用途などで開発しており、技術的にはむしろそちらの方が高い。『スマホ向け』に開発したとして使われないというだけだ。Samsungの製品についても、『看板だけ』で、実態としてはそれほど需要はないだろう」と指摘した。

ToF搭載スマホも大きく拡大見込み

 スマホ用途でもう1つ期待できるのが「ToFセンサー」搭載の拡大だ。既にさまざまなスマホメーカーからToFセンサー搭載モデルが発表されており、また、近々発表される見込みの「iPhone 12」への搭載も確実視されている。OMDIAによれば2019年のスマホ向けToFセンサー出荷数は13億9500万個に達したといい、2020年はCOVID-19の影響で減速が予測されているものの2020〜2030年の間、CAGR5.3%の成長が見込まれるという。なお、通常のカメラ用イメージセンサーでは、ソニーが2位を大きく離したトップシェアを占めているのに対し、ToFセンサーにおいてはSTMicroelectronics、amsが2大メーカーとなっている。李氏は、「ただし、カメラ用と比較して技術的なハードルが低いことから中国メーカーの参入が進んでおり、今後シェアは変動していくだろう」としている。

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