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» 2020年10月12日 12時10分 公開

「スマホの多眼化」がコロナ禍を吸収?イメージセンサー市場の未来はOMDIAのアナリストに聞く(3/4 ページ)

[永山準,EE Times Japan]

年平均20%近くの成長を続ける車載分野

 上記のように、イメージセンサー市場においては、スマホ用途が8割を占め支配的な存在となっているが、成長率でみるとその印象は大きく変わってくる。特に注目すべきは自動車、産業機器、そしてドローンの3分野であり、OMDIAによれば、2020〜2030年の間のCAGRがそれぞれ19.6%、21.6%、14.0%と急成長していく見込みだという。

イメージセンサーの用途別成長率 出典:OMDIA

 車載自動車分野での拡大の要因は、ADAS(先進運転支援システム)の発展だ。現状、普及率が最も高いのはリアビューカメラで、これは米国の「KT法(Kids and Transportation Safety Act)」の要求などが背景となっているという。ADASカメラは、コストがネックとなりリアビューカメラと比較するといまだ普及スピードは緩いものの、既に自動運転レベル2までは量産化されており、レベル3についても2020年4月に国内においても解禁となるなど市場が本格化。自動車メーカー各社が新製品投入に向けて開発を加速している。

 このトレンドから、2020年にはCOVID-19の影響による低迷が見込まれるものの、自動車向けイメージセンサー出荷数は、2019年の9400万個から2030年には5億2500万個にまで成長すると予想されている。クルマ1台へのカメラ搭載率(カメラ台数/自動車台数)でみれば2019年には79.7%だったのが、2026年には195.2%にまで拡大する見込みだ。

 また、車載カメラでは、リアビューカメラ用途を中心にON SemiconductorとOmniVisionの2社が高いシェアを占めているが、上記のようにADASカメラの開発が活発化するにつれて、「技術的優位性をもつソニーへの注目が高まっている」としている。かつて、「人の命に関わる製品は扱わない」という不文律があったとされるソニーは、2014年に車載向けCMOSイメージセンサーを発表して以降、車載分野をイメージセンサー事業の注力領域の1つと位置付け開発を進めており、2020年には800万画素クラスの車載用CMOSイメージセンサーの量産を開始するとも発表している。既にトヨタの最新のADAS「Toyota Safety Sense 2.0」にもソニーの製品が採用されるなどその実績も着実に積み上げているほか、2020年1月のCESでは自ら開発した電気自動車の試作車「VISION-S」も発表し、その存在感を高めている。

「VISION-S」には車載向けCMOSイメージセンサーを含む合計33個のセンサーを搭載。すでに自動運転レべル2相当の機能を備え、レベル4への対応も視野に入れているという 出典:ソニー

 車載分野においては後発となるソニーだが、李氏は、「ソニーはイメージセンサー市場を作ってきたという自負があり、車載分野についても、早速ボッシュとともにドイツのアウトバーンで800万画素のイメージセンサーを用いた実証実験を行うなどしており、相当な自信を持っている。必ず自社の技術でシェアトップになるつもりでいるだろうし、近い将来、あっと驚くような技術を出して自動車メーカーやTier1、そしてわれわれを驚かせてくれるだろう」と評していた。

 産業機器分野については、電子機器や食料品の外観検査などのマシンビジョン用途での活用が今後も加速する見込みだ。OMDIAによれば2020〜2030年のCAGRは21.6%と高い成長が予想されているものの、2019年のイメージセンサー出荷数は910万個と、規模としては車載よりさらに1桁小さく、2030年の予測値も6700万個程度となっている。ただ、李氏は、「ひょっとするとこれは悲観的な予測かもしれない」と言及。「過去の市場の動きを見れば、何らかの成功モデルができると同時に、いろいろな業種やメーカーが垣根を超えて一気に投資していく流れになっている。今はそのエビデンスがないため示せないが、そうなればもっと劇的に伸びることになるだろう」と語っていた。

 ドローン分野は、CAGRは現在は個人の趣味などのコンシューマー用途が中心だが(2019年の出荷数のうち7割以上がコンシューマー用途)、今後は農薬散布などの一次産業用ロボットとしての活用を中心に、監視や各種点検、検査などプロフェッショナル用途が拡大していく見込み。イメージセンサー出荷数は2019年の740万個から2030年には2600万個に拡大するという。李氏は、「2030年にプロフェッショナル用途が全体の半数を占めるまで成長するだろう。個数としてはスマホ用途とは比ぶべくもないが、われわれの世の中を変えることは間違いない事実であり、市場は拡大を続けるだろう」と語っている。

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