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封止材料に対する要求項目のランキング福田昭のデバイス通信(276) 2019年度版実装技術ロードマップ(84)(2/2 ページ)

» 2020年10月13日 10時30分 公開
[福田昭EE Times Japan]
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低コスト化、熱膨張差の吸収、使用期限の延長に強い要求

 第5項「封止材料」では、第6章第3節の「実装設備に対する要求経過と今後の動向」と同様に、JEITAがユーザーから封止材料への要求項目をアンケート調査した結果を報告している。回答者総数は204件である。

封止材料に対する要求項目のアンケート結果(概要)。出典:JEITA(クリックで拡大)

 重要度のトップは、「低コスト化」である。前回版(2017年度版 実装技術ロードマップ)および前々回版(2015年度版 実装技術ロードマップ)に続いてトップを堅持しており、なおかつ第2位との点数差が10%以上と大きい。

 封止材料のコストは、部品コストや基板コストなどと同様に製品のコストに加算される。材料コストだけでなく、封止材の塗布と硬化の工程(装置コストや処理時間など)もコスト要因となるので、封止材料のコストは強く意識されることになる。

 第2位は「チップと基板の熱膨張差を吸収するアンダーフィル(大型チップ対応)」である。前回版の第4位から上昇した。加熱によって反りやすい、あるいは剥がれやすい基板や部品などが増加傾向にあることを反映していると思われる。

 大型チップへの対応として熱膨張係数の低減およびガラス転移温度の高温化が進められてきた。また硬化温度を一般的な150℃から80℃に下げて基板の反りを抑制した低温硬化型のアンダーフィル材料が商品化されている。

80℃と低い温度で硬化する低温硬化性のアンダーフィル。パナソニックが2017年2月3日に発表したリリースから

 重要度の第3位は「使用期限の長い封止材料」である。前回版も第3位だった。生産ラインで機種切り替えの間も封止材料を保冷庫に戻さずに、実装設備にセットしたまま安定に使える材料が求められている。

 このほか、第4位は「ボイドレスアンダーフィル」、第5位は「室温保存」、第6位は「狭ギャップ対応アンダーフィル」と「リペアラブルアンダーフィル」、第8位は「フラックス機能のあるアンダーフィル」、第9位は「低応力(ゴム系)封止材」、第10位は「低温(室温)高速硬化材料(25℃で10分以内、二液を注入して混合)」、第11位は「耐油性向上封止材」となっている。

 なお第5位の「室温保存」は、前回版の第2位から下降した。熱硬化性封止材料は室温保存性を優先させると硬化時間が長くなる傾向がある。保存は冷蔵で良いので、生産ラインでの硬化時間を短くすることを望む傾向が見て取れる。

次回に続く

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