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» 2020年11月04日 10時00分 公開

スマートカーアクセス:スマホ時代のキーテクノロジーはNFC、BluetoothそしてUWB

自動車のメガトレンドである「シェアリング」が進むと、クルマの鍵は、仮想化、デジタル化されネットワークを介してやり取りされるようになる。すなわち、従来型の鍵からデジタル鍵に移行し、デジタル鍵を扱うスマートフォン自体が鍵の役割を果たすようになる。そうした「スマートカーアクセス」において重要になるであろうキーテクノロジーを紹介しよう。

[PR/EE Times Japan]
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 「自動車の鍵といえばスマートフォン」という時代は、想像以上に早く到来するかもしれない――。

 現在、自動車の鍵は、ワイヤレスでボタンを押してドアを開閉し、イモビライザでエンジンを始動させるキーレスエントリーに対応した物が当たり前になっている。昨今では、ボタン操作の必要がなく鍵を身に付けているだけでドアをハンズフリーで解錠し、エンジン始動が行えるパッシブエントリーに対応した鍵も急速に普及している。

 こうしたキーレスエントリー/パッシブエントリー対応鍵向け半導体デバイスで世界シェアNo.1*1)を誇るNXP Semiconductorsでは、キーレスエントリー/パッシブエントリー対応鍵を“クラッシックキー”(=古典的な鍵)と位置付け、クラッシックキーに代わる新たな鍵に向けた動きを加速させている。その新たな鍵とは、主にスマートフォンを活用して実現する「スマートアクセス」だ。

*1)HIS, automotive semiconductors market tracker, April 2020

2020年代後半にはスマートアクセスが主流に

 NXP Semiconductorsでは、2020年代後半には、新車のうち半数以上が、クラシックキーとともにスマートフォンを鍵として使用できるようになると予測。「現時点でも新車の5%近くがスマートフォンを鍵として使用できるスマートアクセス対応になっている。これは、当初の想定よりも早いペースだ。そのため、個人的には、もっと早い段階でスマートアクセスが主流になる可能性は十二分にあると思っている」と同社日本法人で車載アナログ製品のマーケティング部長を務める林則彦氏は指摘する。

NXP Semiconductorsによるカーアクセス技術の普及予測 (クリックで拡大)
2020年代後半には、スマートフォンが鍵の役割を果たすスマートアクセス対応車が新車販売の半数を超える見込みだ

 スマートアクセスの急速な普及が予想される背景には、自動車のメガトレンドの1つである“シェアリング”に合致し、シェアリングを実現する上でスマートアクセスは不可欠な存在と考えられるためだ。

 1台のクルマを複数の人でシェアするには、鍵のやりとりが必須だ。従来のクラシックキーであれば、物理的な鍵のやりとりが発生するため多くの制約が生まれてしまう。オンラインで仮想的にクルマの鍵をやり取りできれば、物理的に離れた人ともクルマをシェアできるようになり、クルマの稼働率を大きく高めることができる。こうした仮想的にオンライン上でやり取りできる新たな鍵のカタチが「スマートアクセス」であり、主にその鍵のやり取りはスマートフォン上で行い、クルマの解錠や始動もスマートフォンを使って行うことが想定されている。

 林氏は「スマートアクセスは当面、クラシックキー対応のクルマが追加的に対応し、クラシックキー、スマートアクセスの両対応が主流になるだろう。しかし、クラシックキーとスマートアクセスは、異なるテクノロジー、デバイスが必要なため、両方に対応するとなるとコスト高を招く。いずれは、コストを抑えるという観点から、スマートアクセスだけに対応するクルマが主流になり、将来的にクラシックキーはスマートアクセスに置き換わるだろう」と述べる。

スマートアクセスの普及イメージ (クリックで拡大)
スマートアクセス普及当初は、クラシックキーとスマートアクセスの両方に対応するクルマが主流になる見込み。その後、クラシックキーは姿を消し、スマートアクセスのみに対応していくと予想。スマートアクセスの時代にも、クラッシックキーのような外見の専用鍵も存在するがスマートアクセスを実現するNFC、Bluetooth、UWBなどのテクノロジーで構成され、現状のクラッシックキーと中身は大きくことなる見込みだ。

 林氏の言う通り、クラシックキーとスマートアクセスでは、使用する技術/デバイスは大きく異なってくる。クラシックキーでは、自動車独自に割り当てられた周波数帯(LF/RF)を使用した通信を活用し、それに応じた専用デバイスが必要だった。一方で、スマートアクセスの場合、一般的なスマートフォンを鍵として使用するため、基本的にはスマートフォンに搭載される技術を使用しなければならない。具体的には、NFC(近距離無線通信)やBluetoothなどが、クラシックキーのLFやRFの代わりを果たすことになる。

スマートアクセスを実現するキーテクノロジー(1)NFC

 すでに実用化されているスマートアクセスシステムの多くはNFCが活用されているケースが多い。また、自動車メーカーや車種を問わず、どんなスマートフォンでもデジタル鍵をやり取りできるスマートアクセスの実現を目指す業界団体「Car Connectivity Consortium」(略称:CCC)でも、NFCの使用を前提にしたデジタル鍵の仕様(リリース2)が策定されている。

 こうした動きを受けて、NFCの生みの親であり、CCCのメンバー企業であるNXP Semiconductorsは、CCC リリース2対応のNFCデバイスを製品化し、自動車やスマートフォンなどに向けて広く展開している。

NXPジャパン 第一事業本部マーケティング統括部アドバンスド・オートモーティブ・アナログ部 部長 林則彦氏

 「スマートフォンのバッテリーが切れた場合でも認証が行えるなど確実性が高いNFCは、スマートアクセスを実現する上で不可欠な技術であることは間違いない。しかし、NFCだけでは十分とは言えない。なぜなら、通信距離の短いNFCはかざすという動作が必要であり、クラシックキーで実現されているハンズフリーのパッシブエントリーが行えず、利便性に劣るからだ。クラシックキー以上の利便性を備えたスマートアクセスを実現するには、NFCとは別の技術が必要になる。それが、BluetoothとUWB(超広帯域無線)だ」(林氏)

スマートアクセスのシステム構成イメージ (クリックで拡大)

スマートアクセスを実現するキーテクノロジー(2)Bluetooth

 いうまでもないがBluetoothは、スマートフォンに標準的に搭載される無線通信であり、数メートルという、NFCに比べて長い通信距離を誇る。Bluetoothを活用することで、端末をかざすことなくセキュア認証が行えるようになる。ただ、その一方でBluetoothは10m以上無線が届くこともあり、Bluetoothの通信が確立されただけでドアを解錠できたり、エンジンを始動できたりすると、昨今、社会問題化しているリレーアタック*2)のように、簡単に車両を盗まれてしまう可能性も出てくる。車外に鍵があるのにエンジンがかかってしまう、車内に鍵があるのにドアが施錠されてしまう、というようなことをBluetoothだけで防ぐことは難しい。Bluetoothは、鍵とクルマの距離、位置関係を正確に把握する技術とともに使うことが必要であり、NXP Semiconductorsでは、そのもう1つの技術としてUWBを提唱している。CCCにおいても、BluetoothとUWBの活用を前提にした仕様(リリース3)の策定が行われていて、2021年春にも完了する見込みだ。

*2)リレーアタック:スマートキーから常時発信されている微弱な電波を中継(リレー)することで、まるでクルマの近くにキーがあるかのように誤認させて解錠およびエンジン始動させて車両を盗む手法。

スマートアクセスを実現するキーテクノロジー(3)UWB

 UWBは、狭いパルスを用いたインパルス信号を用いるため、多くの通信方式が課題とするマルチパス信号の影響に対して、UWBは干渉しにくい特長を持ち、絶対距離で±10cmの測距精度を誇る。スマートアクセスでは車とスマートフォンの距離を正確に測ることが可能となり、クラッシックキーにおいても、リレーアタックに有効な対策技術として搭載が進みつつある。このような背景で、UWBの測距技術の活用を含む仕様(リリース3)がCCCで策定される予定となっている。

UWBの技術的特長 (クリックで拡大)

 ただ、UWBにも大きな課題がある。NFCやBluetoothなどと違って、スマートフォンに標準的に搭載されている技術ではないという点だ。現状、ほんの一握りのスマートフォンでの搭載にとどまっている。

 この課題に対し「NXP Semiconductorsでは、UWBの価値向上に向けた活動を積極的に行っている」という。その1つが、Samsung Electronics、Boschなどとともに立ち上げた業界団体「FiRaコンソーシアム」での活動を通じたUWBエコシステムの構築だ。同コンソーシアムでは、住宅でのセキュア認証用途や屋内位置測位用途でのUWB活用に向けた各種仕様の策定を行い、スマートカーアクセス以外でのUWB活用の促進を図り、スマートフォンへの搭載拡大を狙っている。すでに、FiRaコンソーシアムには主要なスマートフォンメーカーが参画しており、UWBのエコシステムは確実に広がりつつある状況だ。実際にNXPのUWB技術は、市場初のUWB対応AndroidデバイスであるSamsungのGalaxy Note20 Ultraに採用されている。

想定されているUWBの活用例

 またNXP Semiconductorsでは、自動車におけるUWBの活用促進に向けた提案も行っている。「スマートアクセスにUWBを採用する場合、車外に4つ、車内に2つの計6つのUWBデバイスを搭載する事例が多い。これらのUWBデバイスをスマートアクセス対応のためだけに搭載するとなると、自動車メーカーによっては費用対効果を疑問視されるケースがある。しかし、UWBはスマートアクセス以外にも活用方法が多い」という。例えば、車外に配置するUWBは、障害物検知用のソナーとして活用できるとする。車内に配置するUWBは、毛布などは透過し水分は反射するという特性を利用した置き去り防止検知用レーダーセンサーとしての併用も可能だ。「他にも、UWBの高速通信機能を使った車内無線通信なども行える可能性があるだろう。クルマにとっても、スマートフォンにとっても、活用範囲が広く価値の高い技術としてUWBの認知拡大を図りたい」と述べる。

全方位でカーアクセスをサポート

 NXP Semiconductorsでは、車載向けUWBデバイス「NCJ29D5」をはじめ、NFCデバイスBluetoothデバイス、そしてセキュアエレメントと、スマートアクセスの実現に必要なキーデバイスを提供中だ。

車載向けUWBデバイス「NCJ29D5」の概要 (クリックで拡大)

 「Bluetoothデバイスについては、Bluetooth Low Energy 5.0に準拠したKW3xワイヤレスマイコンを提供している。さらにMarvellのWi-Fi/Bluetoothコネクティビティ事業部門を買収することで大幅に強化された。Bluetoothを用いた高精度な測距技術の研究開発など、次世代、次々世代のカーアクセスに向けた技術開発も継続的に行っていく。クラッシックキー、スマートアクセスキーだけではなく、クルマのワイヤレステクノロジをリードしていく」と語っている。

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提供:NXPジャパン株式会社
アイティメディア営業企画/制作:EE Times Japan 編集部/掲載内容有効期限:2020年12月3日

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