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» 2020年11月16日 10時30分 公開

インダストリー4.0をさらに一歩進める:「インダストリー5.0」が人と機械の協働を実現 (1/4)

インダストリー5.0の実現により、人と機械の協働のレベルが向上し、工場環境がさらにスマートなものになっていくという。

[Mark Patrick(Mouser Electronics),EE Times Japan]

 製造に関わる先端技術に限らず、どの分野においてもテクノロジーは常に進化しています。インダストリー4.0の登場以来、私たちはセンサー、データ処理、接続性、クラウドコンピューティングなどのテクノロジーを統合して、オートメーションの進んだ工場環境を作り出し、事業利益を生み出すというコンセプトを採り入れてきました。

 その基盤の上に出現したのが、「インダストリー5.0」です。これは、高度に自動化されたループに人の関わりを導入する新しいパラダイムです。インダストリー5.0によって、かつてない方法でロボットと人が協働する新しい世界が到来し、マス・カスタマイゼーションなどの新たなコンセプトが実現します。その過程で今、何が起こっているのでしょうか。インダストリー5.0によって、スマートな製品を設計、製造する手法は本当に変わっていくのでしょうか。

インダストリー4.0の課題

 最初に、インダストリー4.0によってさまざまな分野における製造手法がどのように変わったかを振り返ってみましょう。センサーテクノロジーの著しい進歩によって各種デバイスが小さく、安く、高性能になったことにより、新たに実現したIoT(モノのインターネット)が、この大きな変化の出発点となっています。

 センサー性能が向上し、それらのデバイスが工場の各所に配備されたことで、より広範囲の産業機器からのデータ収集が可能になりました。ユビキタス接続を利用することで、こうしたデータはすぐにクラウドに送られ、そこで処理や分析が行われますが、リアルタイムの洞察を得るため、機械学習をはじめとするAI(人工知能)などのテクノロジーを利用するケースが増えました。IoTが可能にしたこのプロセスがインダストリー4.0の根幹をなしており、オートメーションやデータ収集を広範囲に行うことで事業利益につながります。

 しかし、このようなオートメーションが進んだ環境は、ある程度までしか機能しないという課題があります。例えば製造の現場では、ロボット工学の応用によって一貫性や再現性が驚異的なレベルに引き上げられ、あらかじめ決まった生産工程の一部として、ロボットが一定の繰り返し作業を行っています。外観や使用感があまり変わらない製品を作り続けるのであれば、それで十分です。しかし、顧客が何か別のものを求めた場合はどうでしょうか。もし製品の見た目のカスタマイズや、高度なパーソナライズ機能がほしいというニーズがあるとしたら、洗練された製品に対する消費者の期待が高まっている市場では、そういった要求があることも十分考えられます。

 そこで登場するのがインダストリー5.0です。この新たなパラダイムの下で、人間はもう一度ループに参加することになります。人とインテリジェントな機械との協働を増強し、工場の現場で並んで作業する状況も生まれます。インダストリー5.0では、ロボットが有する一般的な利点と、批判的思考などの領域で人間が有する高度な認知能力が統合され、両者から最良の部分が引き出されるといわれています。

 こうした多角的な環境で、生産ラインはさらに高度化され、人間が取り扱うカスタマイズのレベルは大幅に向上します。このコンセプトは、自動車、家電製品、宝飾品といったさまざまな分野に影響します。クラフトビールのような製品も、ラベルに工夫を加えることで、消費者にとってさらに魅力的な商品に変わります。

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