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「インダストリー5.0」が人と機械の協働を実現インダストリー4.0をさらに一歩進める(2/4 ページ)

» 2020年11月16日 10時30分 公開

インダストリー5.0をどう実現するのか

 ここまではコンセプトについて述べてきましたが、現実はどうでしょうか。工場の効率や汎用性を将来的に高めるには、インダストリー5.0を具体的にどのように利用できるでしょうか。

 特に重要になるのが、人と機械の物理的インタフェースです。従来、ロボットアームは安全柵の内側に置き、人に危険が及ばないようにしていました。しかし新しい世界では、文字通りの意味でも比喩的な意味でも、人とロボットの関係をさらに緊密にしていくことが求められます。

 これは、新世代の軽量型協働ロボット(コボット)の開発によって実現可能です。コボットは各種の位置センサーを備えており、作業者の存在を瞬時に検知します。広範な生産工程において人が中心になれるかどうかはコボットの安全性の向上にかかっているため、小型で高速に動く、柔軟なコボットの導入は、インダストリー5.0の発展に不可欠です。

 このような需要にはオートメーション市場も注目しており、ABB、ファナック、Siemens、KUKAといった世界的な産業ロボットメーカーは、デンマークのUniversal Robotsなど専門性の高い企業の協力を得て、新しい分野のコボット製品を設計、製造しています。現実に、BIS Researchによる最近の調査結果によれば、2018年に5.8億米ドルだったコボットの世界市場規模は驚異的な成長を遂げており、2024年までに90億米ドルに達すると予想されています。

協働ロボットの発展

 市場に参入する企業が増加したことにより、コボットの性能は急速に進歩してきています。初期のモデルは小型で、作業者と協力して簡単な組み立て作業を行うように設計されていました。こうした先駆的な卓上アームの重量は一般的に10kg程度で、有効荷重は3kgでした。この程度のサイズと性能は、ネジの締め付けといった作業の自動化に最適でした。

 しかしその後、コボットは大型かつ強力になり、最新のアームの中には、有効荷重が他製品の最大5倍になるものもあります。サイズの大型化に加え、直感的なプログラミングが可能なグリッパーやツールが増えたことで、重い機械の取り扱いや、原材料の取り扱い、梱包、ネジやナットの締め付けなど、幅広い用途に対応できるようになりました。これらのアームは、近接センサー、距離センサー、位置センサーなどのセンサーを全て装備しているため、生産ラインの作業者のすぐ近くで使用することができます。

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