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「インダストリー5.0」が人と機械の協働を実現インダストリー4.0をさらに一歩進める(4/4 ページ)

» 2020年11月16日 10時30分 公開
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オートメーションに対する意識の変化

 コボットが幅広い産業に応用可能であるということは明白です。コボットを使用できる範囲や規模は分野によって大きく異なりますが、常に考慮すべきことがあります。それは、オートメーションに対する意識を文化面で変えていかなければならないということです。

 オートメーションの歴史はほとんど固定されたパラメータの上に築かれてきました。それは、ロボットは主にフェンスで囲まれた場所で役割を果たす、というものです。しかし、インダストリー5.0という「素晴らしい新世界」では、ロボットと人は競争するのではなく、協力して働かなければなりません。そのため、固定概念を完全に切り替えて、新たな関係を築く必要があります。

 これはオートメーションと人力の必要性の矛盾として、広く議論されてきました。機械が台頭すれば、最終的にさまざまな産業で失業者が出るという考え方が常に多数を占めてきました。インダストリー5.0によってそのような論調は変化し、人は新たな様式の中でさらに価値ある役割を果たすようになるでしょう。

 これはWorld Economic Forumの主要レポートでも指摘されています。このレポートは、世界中で要求されるスキルが2022年までにどのように変化するかを推定しているものです。オートメーションがより高度化し、重要な分野でさらに広く使用されるようになると、従来型の役割が廃れていくことに疑う余地はありません。しかしこれらの役割は必然的に、ビッグデータ解析、人工知能、ソフトウェアやアプリケーション、デジタルトランスフォーメーションといった分野を重視する、他の新たな領域に置き換えられると考えられているのです。

 こうした新たな役割は全てインダストリー5.0の世界にうまく適合し、人と機械の協力関係を支えるものとなります。実際、このレポートによれば、こうした変化によって約7500万の仕事が失われる一方で、1億3300万の新たな役割が生まれると考えられるため、オートメーションの増加は全体としてプラス面の方が多いということになります。

よりスマートな生産システムに向けて

 本稿を通して、産業分野におけるテクノロジーは急速に進化し続けていることをみてきました。インダストリー4.0やインダストリー5.0は注目を集めるトレンドワードかもしれませんが、これらは、オートメーションが進んだ環境で製品を設計、製造、保守するという真の改革を包括しているのです。この変革により、機械と人のマインドが育む共生関係はますます強固なものになるでしょう。そうした能力の結集にこそ、スマートで効率的な未来の工場を作り出す力が秘められているのです。

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