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» 2020年11月18日 11時30分 公開

大山聡の業界スコープ(36):コロナ影響をほぼ見切った点を評価、電機8社20年度上期決算を総括 (2/4)

[大山聡(グロスバーグ),EE Times Japan]

売上高見込みは厳しいが若干の収益改善が見込める三菱電機

 三菱電機の2020年度上期業績は、売上高1兆9020億円(前年度比2805億円減)、営業利益613億円(同528億円減)、当期利益482億円(同430億円減)であった。

三菱電機の事業部門別営業損益 出所:同社決算資料よりGrossberg作成

 重電システム部門は減収ながら費用改善で増益を達成、コロナの影響を受けながらも国内電力関連の公共事業が堅調で、ビルシステム需要の低迷をカバーした。産業メカトロニクス部門は大幅な減収減益、FAシステム事業も自動車機器事業もコロナの影響が非常に大きかった。例外的に、第5世代移動通信(5G)ネットワーク、半導体、マスク製造などに伴う需要があったが、4〜6月期の赤字を解消するのが精いっぱいだった。情報通信システム部門は減収ながら微増益、製造業を中心にIT投資の延期や中止が多かったが、テレワーク関連のインフラ需要などの増加で収益の悪化を逃れた。電子デバイス部門は微減収ながら増益、次世代データセンター向け光高周波デバイスなどが堅調だった。家庭電器部門は減収減益、国内外で空調機器の需要減があった。

 2020年度通期業績予想は、売上高4兆500億円(前年度比4125億円減、前回から500億円減額)、営業利益1500億円(同1096億円減、同300億円増額)、当期利益1200億円(同1018億円減、同200億円増額)としており、コロナの影響などで売り上げ見通しはさらに厳しくなるものの、収益面での改善が前回の見通しを上方修正させる要因となったもよう。ただし同社としては、産業メカトロニクス部門の収益が本格的に回復しない限り、当面は厳しい状況が続きそうである。

コロナによる特需がありそうで見当たらないNEC

 NECの2020年度上期業績は、売上高1兆3150億円(前年比1340億円減)、調整後営業利益200億円(同269億円減)、調整後当期利益1663億円億円(同177億円減)であった。

NECの事業部門別営業損益 出所:同社決算資料よりGrossberg作成

 社会公益部門は減収減益、医療向けや地域産業向けの需要減、ビジネスPC更新需要の一巡などが要因で、コロナの影響は目立って大きくない。社会基盤部門も減収減益、航空宇宙/防衛向けの需要減によるもので、やはりコロナの影響は大きくない。エンタープライズ部門も減収減益、前年の大型案件の減少とビジネスPC更新需要の一巡などによるものである。ネットワークサービス部門は、固定ネットワーク領域の増加、一過性の大型案件などで増収だったが、5G関連の投資がかさんで減益となった。グローバル部門は減収減益、ディスプレイ、ワイヤレスの減少、KMD(デンマークのIT子会社)の一部事業終息などが要因だった。

 2020年度通期業績予想は、売上高3兆300億円(同652億円減)、調整後営業利益1650億円(同192億円増)、調整後当期利益990億円(同122億円減)、期初予想から変更はない。営業利益に対するコロナの影響は、5月時点では500億円程度と見込んでいたが、10月時点では650億円程度とやや厳しめに見ているが、大手8社の中では軽微な影響である。むしろコロナの影響による特需などが見込めても良いはずだが、そのような恩恵にはあずかっていないようである。

増益達成の4〜6月期から一転、減益が目立つ富士通

 富士通の2020年度上期業績は、売上高1兆6138億円(前年度比1969億円減)、営業利益622億円(同88億円減)、当期利益471億円(同165億円減)であった。

富士通の事業部門別営業損益 出所:同社決算資料よりGrossberg作成

 テクノロジーソリューション部門のサービスはコロナの影響に加え、前年度大口案件のあったヘルスケアの反動減などで減収減益だった。同部門のシステムプラットフォームは、スーパーコンピュータ「富岳」の出荷で増収を維持したが、全体ではコロナの影響を余儀なくされた。同部門の海外リージョンはコロナの影響に加え、欧州の不採算国や北米プロダクトビジネスからの撤退で減収減益となった。ユビキタスソリューション部門はコロナの影響に加え、前年度のWindows 7サポート終了に伴うPC需要増に伴う反動減で減収減益。デバイスソリューション部門は三重工場売却に伴う売り上げ減があったが、電子部品の採算性向上が増益に貢献した。

 2020年度通期業績予想は、売上高3兆6100億円(同2477億円減)、営業利益2120億円(同5億円増)、当期利益1600億円(前年と同じ)としており、3カ月前の計画から変更はない。しかし、4〜6月期で唯一増益を達成したポジティブな印象から一転、テクノロジーソリューション部門の収益悪化が気になる内容である。富岳を除けば、製品にもソリューションにももう少し具体的な戦略がほしい。NECと同様、コロナの影響による特需などがあっても良さそうなところだが、そのようなプラス要因は見当たらない。

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