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» 2020年12月24日 11時30分 公開

この10年で起こったこと、次の10年で起こること(49):10年間でノウハウを蓄積、Appleプロセッサの集大成となった「M1」 (1/3)

2020年11月に発売されたApple「Mac」に搭載されているプロセッサ「Apple M1」。これは、Appleが10年の歳月をかけてノウハウを蓄積したプロセッサ技術の“集大成”といえる。

[清水洋治(テカナリエ),EE Times Japan]

Appleの「Mac」向けプロセッサ「M1」

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 2020年11月、Appleは新型「Mac」を3機種同時に発売した。図1は、2020年11月17日に発売された3機種の梱包箱および、それぞれから取り出した基板の様子である。3機種ともにAppleが独自に開発したプロセッサ「Apple M1」(以下、M1)とそれを制御する電源IC、ストレージメモリを骨格として構成されている。

 3機種の差は、仕様に応じてのインタフェースや周波数差に対応する放熱装置の差だけであった。具体的には「MacBook Air」が最も簡素にできており、そこに空冷ファンを搭載し高速化対応したものが「MacBook Pro」、Airに対して高速化とEthernetなどの端子を付加したものが「Mac mini」となっている。

図1:2020年11月に発売されたApple「Mac」シリーズ 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 図2は、M1のチップ開封の様子である。パッケージをメイン基板から取り外し、裏面のピン数をカウントし、ピンピッチなどを調査する(省略)。パッケージにはプロセッサだけでなくDRAMのパッケージが2個搭載される。メインパッケージの3分の1ほどの面積に、DRAMをPoP(Package on Package)として搭載するという構造は、Apple以外では見かけない特殊なものだ。

図2:Apple Silicon「M1」のパッケージを分解 出典:テカナリエレポート(クリックで拡大)

 パッケージの3分の2は金属LIDで覆われており、LIDを取り除くと、放熱材が乗ったシリコンが現れる。これがM1だ。図2の右は、パッケージのモールドを、薬品を使い取り除いた状態である。DRAMメモリ部、M1プロセッサ部のシリコンがガラエポの上に配置されている。

 メモリ部のシリコンをさらに分離すると、4枚の同じメモリが重ねて配置されている。顕微鏡で拡大して解析した結果、各メモリシリコンは、1GバイトのLPDDR4Xであることが明らかになった。2つのパッケ―ジにそれぞれ4層、合計8GバイトのDRAMメモリが搭載され、M1に最短距離で接続されている。16Gバイトモデルの場合には8層重ねとなっている。このDRAMメモリは、シリコンを確認したところ、2020年11月7日に発売された「iPhone 12 mini」で使われているシリコンと完全に一致することが分かった。

 カテゴリーでいえばMacはPCで、「iPhone」はスマートフォンである。一般的に、スマートフォンではLPDDRというメモリ(LPはLow Powerの略:同世代では若干低速で低消費電力)、PCではDDR(高速だが電力が大きい)というメモリが採用されることが多い。MacはPCのカテゴリーであるが、LPDDR4Xを使うことで、低消費電力にも対応したメモリ構成となっているわけだ。またストレージメモリも「iPad」と全く同じものが使われている。

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