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2050年までの世界半導体市場予測 〜人類の文明が進歩する限り成長は続く湯之上隆のナノフォーカス(34)(3/4 ページ)

» 2021年01月14日 11時30分 公開

2050年の世界半導体市場予測

 10年ごとに、先進国と新興国の中間層がそれぞれ5億人ずつ増加すると、世界半導体市場は、5億人×150ドル+5億人×75ドル=1125億ドル増大すると計算できる。

 このように10年ごとに1125億ドルずつ成長していった場合、世界半導体市場の推移は図2のようなる。その結果、2050年の世界半導体市場は、2010年頃の2.5倍の7500億ドルに成長すると予測したわけである。

 この予測に対して、「そんなに成長するとは思えない」という批判を受けたため、全く別の手法で2050年の世界半導体市場を計算してみた。

 図9は、世界半導体市場(億ドル)と出荷個数(億個)の推移を示したグラフである。出荷個数のグラフの傾きから、半導体は毎年250億個ずつ出荷個数が増大していると算出できる。また、2010年頃の全ての半導体の平均価格は0.43ドルだった。

図9:世界半導体市場と出荷個数の推移 出典:ガートナーおよびWSTSのデータをもとに筆者作成(クリックで拡大)

 従って、世界半導体市場は、毎年平均で250億個×0.43ドル=107.5億ドルずつ増大すると計算できる。10年間ならその10倍の1075億ドルになる。

 一人当たり1年間で消費する半導体量から計算すると、世界半導体市場は10年間で1125億ドル増大することになった。そして、出荷個数と平均価格からは10年間で1075億ドル増加すると計算された。

 二つの異なる手法で計算した10年間の世界半導体市場の増加額がおおむね一致したため、筆者の「2050年に世界半導体市場は7500億ドルになる予測」はほぼ正しいと講演会などで主張したが、賛同してくれる人は少なかったように思う。

2020年に世界半導体市場はどうなったか?

 ここで時計を現在に戻す。2011年に「世界半導体市場は、毎年1125億ドルずつ増大して2050年には7500億ドルになる」と予測してから10年が経過した。そこで、筆者の予測が当たったかどうかを検証してみたい(図10)。

図10:10年前に行った世界半導体市場の成長予測の検証 出典:WSTSのデータをもとに筆者作成(クリックで拡大)

 筆者の予測通りなら、世界半導体市場は、2010年の3000億ドルから1125億ドル増加して4125億ドルになっているはずである。実際は、WSTSによれば、2020年の世界半導体市場は4331.45億ドルになる見込みである(関連記事:「2020年の世界半導体市場、プラス5.1%成長と予測」)。このWSTSの推定値は、筆者の予測値より約5%大きい。

 また、WSTSは、2021年は2020年より8.4%増加し、メモリバブルによって過去最高だった2018年を上回る4694.03億ドルになると推定している。この推定値は、筆者の予測値より約13.8%大きい。

 以上から、2011年に行った筆者の予測は、外れた(過小評価だった)。世界半導体市場は、筆者の予測を上回るペースで成長したのである。従って、2011年の筆者の予測に対して、「そんなに成長するとは思えない」と言った人たちの批判も、外れたことになる。

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