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室温動作で低コスト、ダイヤモンドベースの量子演算器豪新興企業が開発へ(2/2 ページ)

» 2021年04月01日 11時30分 公開
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汎用の量子コンピュータを目指す

スーパーコンピュータに搭載された量子アクセラレーター 画像:Quantum Brilliance(クリックで拡大)

 大規模な量子デバイスの構築には、大量の高品質な量子ビットの組み立てと、それらの間の量子情報を伝達、操作するための信頼できる回路の開発の両方が必要だ。

 GoogleやIBMといった大手企業が開発した量子コンピュータとは対照的に、Quantum Brillianceは、量子コンピュータをデータセンターや病院、炭鉱、宇宙、そしてノートPCにさえも搭載できる、“汎用的な技術”に発展させるというビジョンを持っている。

 Doherty氏は「Quantum Brillianceは『Quantum Development Kit(QDK)』というフルスタックの業務用量子コンピュータシステムを提供している。QDKは、既存の量子ハードウェアを現場で利用したいという顧客需要を満たす小型の量子コンピュータだ。QDKは世界的に見てもユニークな製品で、顧客自身が物理的に所有することのできる数少ない量子コンピュータのうちの一つである。QDKは低コスト、低消費電力で、室温で作動すること、また、顧客の既存のラック型データセンターインフラとの互換性があることから、顧客の参入障壁を引き下げる」と説明する。

 Doherty氏は、Quantum Brillianceがハードウェアの他にソフトウェアアーキテクチャとエミュレーターも提供していると付け加えた。ユーザーはそれらを用いて、量子アクセラレーターの統合やアプリケーションに向けてソフトウェアを開発/評価できるようになる他、現在そして将来の性能を検証することができる。

 Doherty氏は「Quantum Brillianceの既存のソフトウェアアーキテクチャは、当社の協力企業が米国の国立研究所において特に量子アクセラレーターに向けて開発したXACCフレームワークがベースとなっている」と述べる。

 「当社の量子エミュレーターと他社の量子シミュレーターとの違いは、ダイヤモンド量子コンピューターの詳細なモデル(量子ビットトポロジーやネイティブオペレーション、エラー、演算時間など)と、高性能コンピュータシステムでのスケーラビリティだ」(Doherty氏)

 同社の長期的な目標は、50量子ビット以上を持つ、グラフィックスアクセラレーターカードのサイズのプロセッサを、今後5年以内に開発することだという。

オーストラリア・パースのPawsey Supercomputer Centre

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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