検索
特集

イスに座るだけ、心拍・呼吸をピタリと測定非接触センサー(1/3 ページ)

生体から発する微細な振動を検知するシート型センサーを凸版印刷が開発した。イスの座面やベッドのマットレスの下に置くだけで、心拍や呼吸などの生体情報をリアルタイムで取得できることが特長だ。薄いシートを加工するフィルムコンバーティング技術を応用して製造、大量生産時のコスト低減を狙えるという。

Share
Tweet
LINE
Hatena

「接触型」と「非接触型」

 ヒトを対象としたセンサーは、「接触型」と「非接触型」に大きく分かれる。接触型はさまざまな情報を取得しやすいものの、欠点もある。わざわざ身に付ける手間だ。

 非接触型には逆の特長がある。身に付ける必要がなく、ほぼ無意識に利用できるものの、得られる情報が少ない。例えば人感センサーは検知用として広く普及しているものの、ドアの開閉や照明のオンオフなど限られた用途にしか使えない。

 より高度な情報を非接触型センサーで得ることはできないだろうか。機器を意識せず、日常生活を送るだけで健康状態のデータを取得できれば、応用が広がる。

厚さ20cmのマットレスの下でも取得可能

 2016年10月4日から同7日まで東京ビッグサイトで開催された「2016 東京国際包装展」では、凸版印刷が「シート型非接触振動センサー」のデモを展示。非接触センサーの可能性を見せた(図1)。


図1 生体情報を取得するデモの様子 心拍数と呼吸数、ストレス度が表示された。

 木製のイスに座るだけで1分間当たり生体データを取得できるデモだ。「脈拍数と呼吸数をリアルタイムに取得している。これらの情報をソフトウェアで統合、心理ストレス度を計算・表示した。厚さ20cmのマットレスの下に配置した場合でも、生体情報を取得できる能力がある」(凸版印刷)。

 デモではイスの座面の下に60cm×20数cmのシートを入れている。シート中央部長手方向に細長い面状のセンサーを形成した形だ*1)。展示品に用いたセンサーはデモ用だけでなく、製品に近い形のもの。2016年10月には、既にシート型非接触振動センサーのサンプル出荷を開始している*2)

*1)センサー形状が面であるため、ヒトがイスやベッドのどの位置に接触しているのかを検知することはできない。位置情報ではなく、振動情報を得るためのセンサーだ。
*2)同社は2016年10月4日に生体センサー事業に参入することを発表している。今後は2017年4月から事業の本格展開を開始。2020年にセンサーと関連システムを含めて、約100億円の売上を目指すとした。

       | 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る