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QualcommがAppleをまた提訴「機密をIntelに提供」終わらない法廷闘争

Qualcommは、長年にわたる顧客企業であるAppleが、Qualcommの半導体チップに関する機密情報を、ライバルであるIntelに提供したとして告訴した。これにより、注目を集めてきた両社間の確執が、一段と激化している。

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新たな法廷闘争のタネが

 Qualcommは、長年にわたる顧客企業であるAppleが、Qualcommの半導体チップに関する機密情報を、ライバルであるIntelに提供したとして告訴した。これにより、注目を集めてきた両社間の確執が、一段と激化している。

 Qualcommは、2018年9月25日に裁判所に提出した書類の中で、Appleが長年にわたり、Qualcommの機密情報と企業秘密を不正入手するための活動を行ってきたと訴えている。申し立て内容によると、AppleはQualcommのソフトウェア開発ツールによって提供された情報を入手して、性能を向上させたり、低品質のモデムチップセットの市場投入までの期間を短縮するためなどに利用したという。その中には、Intelが手掛けたチップセットも含まれるとも主張している。

 Qualcommは、2007年に初代iPhoneが登場して以来、全世代のiPhoneにベースバンドチップを供給してきた。しかし2016年に、両社間でロイヤリティーの支払いをめぐる争いが生じると、その関係が悪化し始める。2017年には、AppleがQualcommに対して10億米ドル規模の訴訟を起こした他、Qualcommが同年11月に、米国カリフォルニア州サンディエゴにおいて、Appleを相手取り訴訟を起こすなど、複数の裁判所で訴訟争いが展開された。

新型「iPhone」独占のIntelに機密情報を提供?

 最新のiPhoneでは、分解した結果から、Qualcommではなく、Intelのモデムチップを独占的に採用していることが明らかになった(関連記事:「iPhone XS」を分解、Qualcommのモデムは見当たらず


画像はイメージです。

 Qualcommは2017年11月の訴訟の中で、AppleがQualcommの企業秘密をうっかり誤って提供してしまったと訴えていた。しかし、2018年9月25日の訴訟では、この11月の訴訟内容を修正してさらに踏み込み、開示手続き文書を分析した結果、「Appleは、Qualcommの機密情報と企業秘密を不正に入手し、保護せずに不当に使用して公開し、完全に盗用することにより、Qualcommのチップセット事業をIntelに流用させるために利用した」と主張している。

 申し立てによると、Appleのエンジニアたちは、同社のデバイスにIntelのチップセットを統合する上で、その性能を向上させるべく、Qualcommのソフトウェアや、ソースコードなどの機密情報を何度も繰り返し利用して、Intelのエンジニアたちに提供していたとされている。

 Qualcommの広報担当者は、EE Timesとの電子メールのやりとりの中で、「Appleは、契約責任を無視して、自社製品の性能向上と利益拡大のために、Qualcommの財産権を悪用してきた。今回の訴訟の議題となっている、Qualcommのモデム技術のコードやツール、設計に関する詳細は、当社の専属エンジニアたちの才能と労力の象徴だといえる。われわれには、エンジニアたちを保護するための法規範しかない」と述べている。

 Appleは、EE Timesからのコメント要請に対して、すぐに答えることはなかった。

 今回の訴訟は今のところ、2019年4月に裁判へと進む予定だという。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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