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ISSCC 2019の目玉はAIと5Gに、CPUの話題は少ない?メモリ関連の論文も豊富(1/2 ページ)

2019年2月17〜21日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される半導体回路技術関連の国際学会「ISSCC 2019」は、発表内容のほとんどが、機械学習(マシンラーニング)や高速ネットワーク、メモリが主役となる“データ時代”に関するものとなりそうだ。

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CPUの話題が少ない

 ムーアの法則やマイクロプロセッサについては、もう忘れた方がいいかもしれない。2019年2月17〜21日に米国カリフォルニア州サンフランシスコで開催される半導体回路技術関連の国際学会「ISSCC 2019」は、発表内容のほとんどが、機械学習(マシンラーニング)や高速ネットワーク、メモリが主役となる“データ時代”に関するものとなりそうだ。

 Samsung ElectronicsとIntelは、5G(第5世代移動通信)とLTEのコンボチップについて詳細を発表する予定だ。NAND型フラッシュメモリの分野では、東芝が1.33Tビットチップについて、Western Digitalが128層のチップについて、それぞれ発表するという。DRAM分野では、SK HynixとSamsungが、DDR5とLPDDR5について報告する予定だ。さらにSamsungは、スマートフォン向けのディープラーニングアクセラレーターも披露するという。

 ISSCC 2019では、5nmプロセスSRAMやテストチップに関する論文はないが、7nmプロセス適用の高速ネットワークチップに関する論文が、数は少ないが発表されるようだ。もう1つ、従来と異なる点としては、フラグシップCPUに関する論文が全く存在しないということが挙げられる。

 マイクロプロセッサのセッションの主催者は、「こうした傾向が今後も続くとは思えないが、製品サイクルの観点から見ると、むしろ業界の現在の位置付けが示唆されているのではないだろうか」と述べている。

 ISSCCでは、IBMのエンジニアたちを招待し、現時点で世界最速となったスーパーコンピュータ「Summit」と「Sierra」について説明をしてもらう予定だとしている。また、プロセッサのセッションでは、ロボットコントローラーに関する興味深い論文が発表される。Intelの22nmプロセスを適用し、動作周波数は80〜365MHz、消費電力は37〜238mWの範囲のもので、FD-SOI(完全空乏型シリコン・オン・インシュレーター)の対抗技術となりそうだ。

セッションでもAIと5Gが主要トピックに

 オープニングの基調講演に登壇するのは、FacebookでAI(人工知能)リサーチ担当ディレクターを務めるYann LeCun氏だ。畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)の生みの親である同氏は、機械が人間と同じように周囲の環境から学習する「教師なし学習」の実現への道について説明する。

 カンファレンスの期間中に設けられるチュートリアルやセッションでも、AIと5Gが主要トピックになるようだ。

 Samsungのディープラーニング向けのモバイルアクセラレーターは、0.5Vで最大11.5TOPS(Tera Operations Per Second)の処理能力を提供することができるとする。8nmプロセス適用で、サイズは5.5mm2。デュアルコア設計で1024個の積和ユニット(MAC:Multiply-Accumulate)を搭載し、旧品種と比べて10倍高い性能を実現するとしている。

 東芝は、16nmプロセス適用の自動運転車向けSoC(System on Chip)について発表する予定だ。ダイ面積が94.52mm2で、20.5TOPSの処理性能を実現し、10個のプロセッサと4個のDSP、8個のアクセラレーターを搭載するという。また、ASIL-Bの要件に準拠する画像認識機能と、ASIL-D準拠の制御プロセス機能を提供する。

 AIアクセラレーションの最新手法であるインメモリ・コンピューティングのセッションでは、台湾のNational Tsing Hua University(国立清華大学)が、ReRAM(抵抗変化型メモリ)を使用して、バイナリモードで53.17TOPS/Wの性能と、14.6ナノ秒のレイテンシを達成するチップについて、詳細を説明する。

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