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新世代のプリント配線板と製造技術福田昭のデバイス通信(259) 2019年度版実装技術ロードマップ(67)

今回から、従来型のプリント配線板と、付加価値を高めた新しいプリント配線板について解説する。

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旧世代のプリント配線板と新世代のプリント配線板

 電子情報技術産業協会(JEITA)が発行した「2019年度版 実装技術ロードマップ」に関する完成報告会(2019年6月4日に東京で開催)と同ロードマップの概要をシリーズでご報告している。今回はその第67回である。

 本シリーズの第3回から第22回までは第2章「注目される市場と電子機器群」の概要、第23回から第30回までは第3章「電子デバイスパッケージ」の概要、第31回から第63回までは第4章「電子部品」の概要を説明してきた。


2019年6月4日に東京で開催された「2019年度版 実装技術ロードマップ」完成報告会のプログラム。第64回から、第5章「プリント配線板」(プログラムの9番)の概要を紹介している。出典:JEITA(クリックで拡大)

 第64回からは、第5章「プリント配線板」の概要を紹介している。第5章は、第1節「プリント配線板定義」、第2節「機能集積基板」、第3節「プリント配線板技術ロードマップ」の3つの節で構成される。始めに「第1節」で、プリント配線板とはどのようなものであるかを説明する。次に「第2節」で、プリント配線板市場の行方を大きく左右するとみられる、機能集積基板の製造技術を解説する。最後に「第3節」で2018年〜2028年までの技術ロードマップを紹介する。


第5章「プリント配線板」と第1節「プリント配線板定義」の目次。ロードマップ本体から筆者が書き出したもの(クリックで拡大)

 第64回は伝統的なプリント配線板である「リジッド配線板」を主に解説した。前々回(第65回)は、第5章の原典であるJPCA(日本電子回路工業会)が発行した「2019年度版 プリント配線板技術ロードマップ」の概要を説明した。前回(第66回)は、国内のプリント配線板市場が縮小傾向にあることと、成長のけん引役として付加価値を高めた配線板が望まれていることを述べた。

 今回からは再びプリント配線板の定義に戻り、従来型のプリント配線板(伝統的なプリント配線板、旧世代のプリント配線板)と付加価値を高めた新しいプリント配線板(新規のプリント配線板、新世代のプリント配線板)についてあらためて解説していく。

機能を集積した配線板と付加価値をもたらす製造技術

 伝統的なプリント配線板は第64回でも述べたように、「リジッド配線板」と「フレキシブル配線板」、それから「サブストレート(パッケージ基板)」に分かれる。新規のプリント配線板には、「機能集積配線板(機能集積基板)」と「新製造基盤(新しい製造技術による配線板)」がある。


プリント配線板の定義と分類。出典:JEITAおよびJPCA(クリックで拡大)

 「機能集積配線板(機能集積基板)」には、電子部品(以降は「部品」と表記)を内蔵したリジッド配線板(「リジッド部品内蔵」)、部品を内蔵したフレキシブル配線板(「フレキシブル部品内蔵」)、部品を内蔵したセラミック配線板(「セラミック部品内蔵」)、再配線層(RDL:Redistribution Layer)に部品を内蔵させた配線板(「再配線層部品内蔵」)、整形回路デバイス(MID:Molded Interconnect Device)に部品を内蔵させた配線板(「整形回路部品」)、エポキシモールド樹脂(EMC:Epoxy Molding Compound)に部品を内蔵させた配線板(「EMC部品内蔵」)、などがある。

 「新製造基盤(新しい製造技術による配線板)」には、ロール状のフィルムに半導体や受動素子などの回路を印刷する「プリンタブル(Roll-to-Roll)配線板」、伸縮可能な配線と伸縮可能な絶縁基材を組み合わせた「ストレッチャブル配線板」、絶縁体で包んだ配線を衣服などの布に織り込んだり、縫い付けたりする「テキスタイル配線板」、ストレッチャブル配線板と3次元形状のリジッド支持材(キャリア)を組み合わせた「コンフォーマブル配線板」、配線幅が5μm以下と微細な再配線層とインダクターを集積する「ウエハーレベル製造基盤」、外形寸法が50cmを超える有機樹脂パネルに再配線層を形成してエポキシ樹脂封止する「パネルレベル製造基盤」などがある。

次回に続く

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