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» 2011年10月12日 06時00分 UPDATE

プログラマブルロジック FPGA:アルテラがARMコア搭載FPGAを発表、仮想プロトタイプ環境も用意 (1/2)

28nm世代の最先端FPGAにアームのプロセッサコア「Cortex-A9 MPCore」をハードIPとして集積する。最大の競合であるザイリンクスも同様のFPGA派生製品を発表済みだ。アルテラは差異化点として、ハードウェア性能の高さや仮想プロトタイピング環境などを挙げる。

[薩川格広,EE Times Japan]

 FPGA大手ベンダーのアルテラ(Altera)は2011年10月12日、アーム(ARM)のプロセッサコア「Cortex-A9 MPCore」をハードIPとして集積するFPGA製品群「SoC FPGA(エスオーシー・エフピージーエーと発音する)」を発表した(図1)。28nm世代の製造技術を適用する次世代FPGA群のうち、低コストファミリ「Cyclone V」とミッドレンジファミリ「Arria V」をベースにした合計6品種を用意する。2012年の後半(7〜12月)にエンジニアリングサンプル品の出荷を始め、2013年の早い時期に量産を開始する予定だ。同社は1年前の2010年10月に、組み込み機器の市場に向けた取り組みを「エンベデッド・イニシアチブ」と呼んで発表しており、その中でこの製品のコンセプトについて予告していた(参考記事)。

図1 図1 28nm世代のFPGAにARMプロセッサを集積 ベースとするFPGAの製品ファミリやロジック規模などが異なる6品種を用意する。出典:日本アルテラ
写真 アルテラのプロダクト&コーポレート・マーケティング担当バイスプレジデントを務めるVince Hu氏 「SoC FPGAは単なる“ARMコア搭載FPGA”ではない。さまざまな周辺機能もハードIPで統合した、真のSoC(System on Chip)だ」と語った。

 アルテラが発表したSoC FPGAは、デュアルコア構成のCortex-A9 MPCoreを中核とし、その周辺に各種機能を統合したプロセッササブシステムをハードIPの形態でFPGAチップに集積したものだ(図2)。上述の通り28nm世代のFPGAをベースにしており、FPGA領域の特性はそれらと変わらないが、FPGAとプロセッサをそれぞれ個別のチップとしてボード上で組み合わせる手法に比べて、ボードレベルで見たシステム性能を向上させながら、消費電力や回路面積、コストを低減できると説明する。「ボード上で個別チップのFPGAとプロセッサを接続する場合、通常は高速シリアルインタフェースのPCI Expressを使う。それに対しSoC FPGAは、FPGA部とプロセッササブシステムの間を広帯域幅のオンチップインターコネクトで接続しており、消費電力とボード面積の削減に大きく寄与する。2チップ構成に比べて、消費電力は最大30%、ボード面積は最大55%削減できると見込んでいる」(同社のプロダクト&コーポレート・マーケティング担当バイスプレジデントを務めるVince Hu氏)(図3)。

図2 図2 SoC FPGAのプロセッササブシステム デュアルコア構成のCortex-A9 MPCoreを中核とし、その周辺に各種機能を統合した。出典:日本アルテラ
図3 図3 システムレベルにおけるSoC FPGAの利点 性能向上に加えて、消費電力やサイズ、コストの低減が期待できるという。出典:日本アルテラ

大きく4つの応用分野を狙う

 SoC FPGAで狙う応用分野は、大きく分けて4つある。1つ目は、電力制御と産業機器の分野で、スマートグリッドや太陽光発電用インバータ、産業機器のモーター駆動回路などを想定する。2つ目は、高品位なビデオ信号を扱う分野で、自動車の運転支援システムやインフォテインメントシステム、ビデオ監視やIP(Internet Protocol)カメラ、ビデオ会議システムや放送スタジオ機器などである。

 これら2つの応用分野には、低コストFPGAのCyclone Vをベースにした品種を売り込む。消費電力が最小2W(Cortex-A9 MPCoreを300MHzでシングルコア動作させたとき、商用温度範囲において)、最大5W(800MHzでデュアルコア動作させたとき、工業温度範囲において)と比較的小さく、大量購入時の単価が15米ドル未満からと低いことが、これらの応用分野に適するとみる。例えば産業機器のモーター駆動では、これまでDSP機能を強化したマイコン(いわゆるDSPマイコン)に、工業バスインタフェースLSIとFPGAを組み合わせて構成していた回路を、1個のSoC FPGAで置き換えることができ、プロセッサ性能を高めつつ消費電力と回路面積を削減可能だという(図4)。

図4図5 図4(左)は、SoC FPGAを産業機器のモーター駆動に適用する例。図5(右)は、HD品質のIPカメラに応用する例である。出典:日本アルテラ

 応用分野の3つ目は、有線/無線の通信インフラ装置で、LTE基地局や、基地局の高周波送受信部を独立ユニット化したいわゆるリモートラジオヘッド(RRH)、スイッチ装置やルータ装置などを狙う。4つ目はコンピュータやストレージ装置で、金融機関が利用する高速計算機や、多機能プリンタ、スキャナなどを想定する。

 これら2つの応用分野には、ミッドレンジFPGAのArria Vをベースにした品種で対応する。Arria Vはデータ伝送速度が最大10Gビット/秒の高速シリアルトランシーバを集積しており、SoC FPGAもそれを継承している上に、FPGAのロジック規模が比較的大きく、プロセッササブシステムとつなぐインターコネクトの帯域幅も広いので、高いシステム性能が得られるからだ。例えば、HD品質のIPカメラに応用すれば、従来はDSPマイコンとFPGAの2チップ構成を採っていた回路を1個のSoC FPGAに収容できるという(図5)。さらに将来、オプションで補助用のFPGAもしくはASSPを外付けすれば、既存構成では対応できなかった次世代の映像圧縮方式「H.265」も利用できるようになるとする。

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