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» 2016年02月19日 09時30分 UPDATE

福田昭のデバイス通信 ARMが語る、最先端メモリに対する期待(2):システム設計者を悩ませる制約条件 (1/2)

システム設計において、CPUコアはもはやそれほど重要ではない。大切なのは、メモリ、相互接続(配線)、消費電力、ソフトウェアである。ディスプレイを例に挙げ、最適なシステム・アーキテクチャの構築について説明しよう。

[福田昭,EE Times Japan]

メモリ、相互接続、消費電力、ソフトウェアの組み合わせを重視

 前回から、国際会議「IEDM」のショートコースで英国ARM ReserchのエンジニアRob Aitken氏が「System Requirements for Memories(システムがメモリに要望する事柄)」のタイトルで講演した内容を紹介している。

 前回で述べたように、バッテリー(電池)の進化は半導体の進化に比べると極めてゆっくりとしている。このためにシステム設計は、消費エネルギーの低減を主眼とするものにならざるを得ない。システムからのアプローチが、非常に重要になる。

 システムからのアプローチで特に指摘しておきたいのは、CPUコアはもはや、それほど重要ではない、ということだろう。CPUコアの動作周波数を高めてシステムの性能を向上させる手法は、既に最適ではない。動作周波数を高める手法は、消費電力と性能向上のバランスが悪いからだ。性能向上に費やす消費電力の増大が著しい。「馬力があるけれどもガス食い」のエンジンはもはや、お呼びではない。

 かといってCPUコアの数を増やすことも、あまり良い手段とはいえなくなっている。CPUコアの増加は、シリコン面積の増大(製造コストの増加)と設計の複雑化を伴う。コストの増加に見合うだけの付加価値がありそうなことが、採用を検討する前提である。

 システム設計にとって重要なのは、メモリ、相互接続(配線)、消費電力、そしてソフトウェアになっている。そしてこれらの要素を統合することが成否のカギであるものの、全てを組み合わせて統合すれば良い、ということでもない。適切なリソースを適切なやり方で組み合わせたシステム・アーキテクチャを構築することが、求められている。

事例:ディスプレイ用データ伝送の帯域幅が急増

 適切なリソースを適切な手法で組み合わせる事例の1つは、ディスプレイである。ディスプレイに伝送するデータの帯域幅(データ転送速度)が、急速に上昇しているからだ。ディスプレイにおける解像度の高まりと、単位時間当たりの画面数(フレーム速度)の増加が主な原因である。

 VGAディスプレイに30フレーム/秒(fps)で画像を伝送するときの帯域幅は35Mバイト/秒であり、初期のスマートフォンはこれで十分だった。しかしその後、720pのHDビデオを表示するようになり、必要とする帯域幅は約3倍の105Mバイト/秒に増えた。最近ではフルHDの1080p画像を60fpsと2倍のフレーム速度で転送するようになってきた。必要とする帯域幅は475Mバイト/秒である。初期のVGAと30fpsの組み合わせに比べると、帯域幅は10倍以上に増えている。

ディスプレイの解像度とフレーム速度、帯域幅の推移 ディスプレイの解像度とフレーム速度、帯域幅の推移(クリックで拡大) 出典:ARM
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