穴あきグラフェン分子は、衣類用防虫剤としても広く使用されるナフタレンを環状に連ねたもので、分子中央部にナノメートルサイズの孔を持つ。研究チームは、粉末X線回折という手法を使うと、穴あきグラフェン分子が積層しながら中央にある孔がそろうことを解明。これにより、穴あきグラフェン分子の固体では、黒鉛に似た積層構造に加え、それを貫く細い孔(細孔構造)をつくることができた。
従来の黒鉛は、炭素膜が積層した構造の「隙間」にのみリチウムが蓄積する。穴あきグラフェン分子では、精密に設計されたナノサイズの「隙間と細孔」の2つの場所にリチウムが蓄積されるため、大容量化につながったとみられる。
今回の成果について研究チームは「防虫剤として良く知られた分子『ナフタレン』だが、それを化学の力により『大容量電池のための材料』に変換できることが示された。わが国が最先端の研究力を誇る有機化学の力により、近い将来、高性能電池のための分子材料が自在に設計されることを期待させる成果」とコメントしている。
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