宇宙との通信など、ユニークな応用例も紹介した。その1つが、静止軌道衛星上に設置されたスーパーコンピュータとのデータ転送だ。スーパーコンピュータの演算性能は、2020年にExa FLOPS(浮動小数点演算を1秒間に100京回実行)を達成すると予測されている。さらにこのまま技術が進化すると、2030年には演算性能がZetta FLOPSとなる見通しだ。その時の電力消費は1GWと推定されている。この消費電力は原発1基分の発電量に相当するという。
そこで、静止軌道衛星上に宇宙太陽光パネルを設置し、発電した電力を近くに設置したスーパーコンピュータに供給する計画がある。利得が85dBiのアンテナ(直径5m)を用いると、約3万6000km離れた場所にあるスーパーコンピュータとのデータ転送が可能だという。
IoT(モノのインターネット)の進展により、各種センサーなどから収集されたデータの流通量が膨大になっていることも大きな課題となっている。テラヘルツ波帯無線を利用すれば、月面に設置されたストレージサーバとのデータ伝送が可能となる。地球から月までの距離は約38万kmで、この無線通信に必要な送信パワーは30W、アンテナの直径は10m(アンテナ利得90dBi)になるという。
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