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コントローラの進化で、SDカードの用途が拡大A2対応コントローラ登場(1/2 ページ)

SDカードの最新仕様SD Ver 6.0をサポートし、アプリケーションパフォーマンスクラス2(A2)規格に準拠したコントローラICが登場した。容量拡大が続くオンボードストレージに押され市場縮小も心配されたSDカードだが、用途拡大、市場拡大に向けた進化が続いている。

» 2017年06月15日 10時30分 公開
[Gary HilsonEE Times]

Silicon Motion TechnologyがA2規格準拠コントローラ

 SDカードなどの外付けメディアは、スマートフォンのオンボードストレージ容量が増加の一途にあるにもかかわらず、今後も姿を消すことはなさそうだ。コントローラメーカー各社は、SSDドメイン分野の専門知識を活用することにより、台頭するアプリケーション分野に対応するための取り組みを進めている。

 Silicon Motion Technologyは最近、業界初をうたう商用SDコントローラICを発表した。最新のSD Ver 6.0仕様をサポートする他、新しいアプリケーションパフォーマンスクラス2(A2)規格に準拠し、ランダム読み出し速度は最低4000IOPS、ランダム書き込み速度は最低2000IOPSを実現するという。SD Ver 6.0仕様は、SDアソシエーション(SDA)が、「Mobile World Congress(MWC)2017」(スペイン・バルセロナ、2017年2月27日〜3月2日)において発表した規格である。2016年に発表されたエントリーレベルのアプリケーションパフォーマンスクラス1(A1)において保証されているランダム書き込み、ランダム読み出し速度を、2倍以上に高めることにより、A2規格に対応したモバイルデバイス向けのサポートを拡大している。

アプリケーションパフォーマンスクラス2 (A2)とA1の仕様比較 出典:SDアソシエーション

 Silicon Motion Technologyで米国担当ゼネラルマネージャーを務めるRobert Fan氏は、EE Timesの電話インタビューに応じ、「当社の新型SDコントローラは、4Kビデオ録画、再生やAR(拡張現実)、VR(仮想現実)などの帯域幅集中型アプリケーションの他、より高速なランダム読み出し、ランダム書き込み性能のサポートを実現可能な、ストレージメディアの進化形だといえる。拡張可能なメモリカードにSilicon Motion Technologyの新型コントローラを搭載することにより、優れた性能を実現できるようになるため、Android 6.x/7.xなどのアプリケーションを、カードから直接動作させることも可能だ」と述べている。

消え去るとの臆測を覆し、成長するリムーバブルカード

 Fan氏は、「ここ何年もの間、SDカードなどのリムーバブルカードが市場から消え去るのではないかとする憶測が広がっていた。しかし、スマートフォンのオンボードストレージ容量が増大し続けている中でも、現実はこのような憶測とは正反対の状況にある。iPhone以外の市場の中でも、特に中国市場の成長が著しい」と述べる。

 大量のオンボードストレージよりも、SDカードスロットを搭載した携帯電話機の方が、ユーザーが追加したい容量を自分で決められるため、使用開始後のコストを削減することが可能だ。Fan氏は、「microSDカード市場は、これまで長年にわたり、確固たる位置付けを維持してきた」と述べている。

要件、機能拡張で用途拡大

 同氏は、「SDカードの中でも、特にmicroSDを引き続き必要とする分野は、スマートフォンだけに限られていない。Silicon Motion TechnologyのSD 6.0コントローラは、低信号電圧(LVS)に関する要件や、低消費電力SoC(System on Chip)、機能コマンドキュー、キャッシュ機能、セルフメンテナンス機能などをサポートすることにより、高性能と高信頼性、長期的耐性を備えた、拡張可能なメモリカードを実現することができる。新型コントローラは、C(コマーシャル)グレードおよび、I(インダストリアル)グレードのいずれの温度でも使用可能なため、インフォテインメントシステムなどの自動車向け用途に最適だ。この他にも、コントローラ開発に影響を及ぼすようなSDカード向けの新たな用途としては、衛星カメラやボディカメラ、ドローンなどが挙げられる」と述べる。

2017年2月に発表されたSD Ver 6.0では、最新の低電圧モバイルチップセットの要件を満たす低信号電圧(LVS)カード使用も含まれている (クリックで拡大)

 Fan氏は、「SDカードコントローラは、大量のデータを扱う必要があるという点でよく似た重要機能を持つ、SSD向けコントローラや組み込みメモリと同じ道を進んでいるといえる。例えば、Silicon Motion TechnologyのSD Ver 6.0コントローラは、最大2テラバイトの容量をサポート可能だ。SDAは、絶え間なく仕様を進化させており、Silicon Motionは、そのSDAの活動に積極的に参加している。4.0仕様は全般的に、性能の拡大が中心とされていた。だが、6.0のように最近アップデートされた仕様は、ランダム性能の向上や、組み込み機能のサポートなど、シリコンやシリコン上で動作するファームウェアなどに向けた機能に焦点が当てられている」と述べている。

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