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» 2017年10月17日 10時30分 公開

福田昭のストレージ通信(83) 反強誘電体が起爆するDRAM革命(4):試作された反強誘電体キャパシターの長期信頼性 (1/2)

二酸化ジルコニウムを、仕事関数が異なる材料の電極で挟んだ不揮発性メモリ用のセルキャパシター。この試作品の長期信頼性を確認するために、NaMLabやドレスデン工科大学などの共同研究グループが、書き換えサイクル特性とデータ保持特性を測定した。

[福田昭,EE Times Japan]

不揮発性メモリ用の反強誘電体キャパシター

 前回では、反強誘電体薄膜を挟む2枚の電極材料に仕事関数の違う材料を導入することで、不揮発性メモリ用のセルキャパシターを実現できることをご報告した。研究開発ベンチャーのNaMLabやドレスデン工科大学などの共同研究グループが実際に、このようなキャパシターを作製し、強誘電体キャパシターと類似の特性を示すことを確認した。

試作した反強誘電体キャパシターの分極特性。トップ電極に仕事関数の大きな酸化ルテニウム、ボトム電極に仕事関数の小さな窒化チタンを採用した。反強誘電体材料は二酸化ジルコニウム。二酸化ジルコニウムの膜厚は10nmである。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

 試作した反強誘電体キャパシターの分極特性は大きなヒステリシスを示しており、外部電圧がゼロのときに、かなり大きな残留分極が生じた。

100億回の書き換えサイクルを経ても劣化が生じない

 NaMLabやドレスデン工科大学などの共同研究グループは、試作した反強誘電体キャパシターの書き換えサイクル特性も測定した。残留分極が小さな状態をデータ「1」、残留分極が大きな状態をデータ「0」と仮定し、100kHzの交流電圧パルス(最大値は±3V)をキャパシターに与えて書き換えを繰り返した。

 1010回(100億回)の書き換えサイクルを経ても、残留分極の違いによる読み出しマージンに、劣化(ファティーグ)と絶縁破壊はいずれも見られなかった。データ「0」の側には、書き換え回数の増加とともに、残留分極量がやや大きくなる傾向が見られた。

試作した反強誘電体キャパシターの書き換えサイクル特性。縦軸は分極電荷量、横軸は書き換えサイクル数。出典:NaMLabおよびドレスデン工科大学(クリックで拡大)

 1010回(100億回)の書き換えサイクルを経ても劣化が見られないというのは、非常に良好な結果である。類似の材料系である二酸化ハフニウムの強誘電体キャパシターが108回(1億回)、強誘電体トランジスタが104回(1万回)の書き換えサイクルで劣化が見られているのに比べると、不揮発性メモリとしての将来に非常に大きな期待が持てる結果だ。

 NaMLabやドレスデン工科大学などの共同研究グループでは反強誘電体キャパシターの改良により、1012回(1兆回)〜1014回(100兆回)の書き換えサイクルを達成可能だと見ている。

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