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Semicon Japan 2017 特集

熱圧着プロセスを10分の1に短縮、新しい実装技術日立化成が提案

日立化成は「SEMICON Japan 2017」(2017年12月13〜15日、東京ビッグサイト)で、TCB(Thermal Compression Bonding:熱圧着)プロセスにかかる時間を最大10分の1に短縮する実装技術を提案した。

» 2017年12月15日 09時30分 公開
[村尾麻悠子EE Times Japan]

TCBプロセスの時間を短縮

 日立化成は、東京ビッグサイトで開催中の「SEMICON Japan 2017」(2017年12月13〜15日)で、TCB(Thermal Compression Bonding:熱圧着)プロセスにかかる時間を短縮する実装技術を提案した。

 現状のTCBプロセスは、位置合わせ、熱圧着、冷却というステップで行われているが、チップを1個ずつ圧着している上に、処理時間が長いので、全体としてかなり時間がかかる工程になっている。日立化成によれば、処理時間の平均は1チップ当たり約20秒だという。

 そこで日立化成は、まず複数のチップをまとめて熱圧着する方法を提案した。同社が開発した「BFL(Bonding Force Leveling)フィルム」を熱圧着ヘッドとチップの間に挟む。BFLフィルムは柔らかく、わずかに存在しているチップ高さのばらつきを吸収する。そのため、幾つかのチップを一気に圧着しても、高さのばらつきによってボンディングされていないチップが発生することがないという。この方法により、処理時間は1チップ当たり約3秒と、従来の方法に比べて6分の1以下になるとする。

「BFLフィルム」を使うことで、チップの高さのばらつきを緩和する(クリックで拡大)

 2つ目の方法は、“熱圧着そのものをなくす”というものだ。こちらは、メモリチップをTSV(Through Silicon Via)で積層するような、3D(3次元)実装への適用を想定している。NCF(Non Conductive Film)をラミネートした上にチップを積層して仮搭載した後、一気にモールドして全体を形成し、その後のリフロー処理でチップ間のはんだ接続を行う。1つずつリフロー処理を行う必要はない。実装時間(仮搭載の処理)は1チップ当たり約2秒と、従来の10分の1になる。日立化成は、NFCとモールド樹脂を開発している。

熱圧着そのものが不要になるプロセス(クリックで拡大)

 日立化成は、5面保護封止をする場合の新実装技術も展示した。従来は、ダイシングした後にチップを1つずつ再配置し、オーバーモールドを行い、切断する。最も時間がかかるのが再配置で、日立化成によれば、チップ1000個で約30分かかるという。そこで同社は、「ダイ・ギャップ・エクスパンディング・フィルム」を開発した。伸ばすことができる基板フィルムである。ダイシングした後にこのフィルムを引き伸ばすことで、チップとチップの間隔が広がるので、チップを再配置する必要がなくなる。あとは、間隔が空いたチップをフィルムごとひっくり返してキャリアに一括転写し、フィルムをはがしてオーバーモールドする。これにより、フィルムの引き伸ばしから転写処理まで、わずか数分で完了するという。

基板フィルムを引き伸ばすことで、チップの間隔を広げる(クリックで拡大)

 これらの実装技術はいずれも開発中で、日立化成は、実用化のメドについては明らかにしなかった。

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