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Samsung、3nm「GAA FET」の量産を2021年内に開始か18年後半にはEUV適用の7nmも

Samsung Electronicsは、米国カリフォルニア州サンタクララで2018年5月22日(現地時間)に開催したファウンドリー技術の年次フォーラムで、FinFETの後継アーキテクチャとされるGAA(Gate All Around)トランジスタを2021年に3nmノードで量産する計画を発表した。

» 2018年05月25日 10時30分 公開
[Dylan McGrathEE Times]

 Samsung Electronicsは、米国カリフォルニア州サンタクララで2018年5月22日(現地時間)に開催したファウンドリー技術の年次フォーラムで、FinFETの後継アーキテクチャとされるGAA(Gate All Around)トランジスタを2021年に3nmノードで量産する計画を発表した。2018年下半期にEUV(極端紫外線)リソグラフィを使用した7nmチップの生産を開始する計画についても、あらためて明言した。

 GAA技術は、Samsungや他の企業によって2000年代初頭から開発が行われてきた。GAAトランジスタは、チャネルを囲むようにゲートを形成することで、FinFETが直面する物理的な微細化や性能の限界を克服しようとするFETである。

 Samsungは、「MBCFET(Multi Bridge Channel FET)」として知られる独自のGAA技術を2002年から開発してきた。Samsung Foundryで市場担当バイスプレジデントを務めるRyan Sanghyun Lee氏は、「MCBFETは、ナノシートデバイスを用いることでゲート制御を強化し、トランジスタの性能を大幅に改善した」と説明している。

 Samsungは2017年に、「2020年に4nmノードのGAAトランジスタの生産を開始する計画だ」と発表したが、業界関係者は「GAAの生産開始は、2022年以降になる」と見ていた。

 米国の調査会社であるGartnerでファウンドリーリサーチ担当バイスプレジデントを務めるSamuel Wang氏は、「SamsungがGAAトランジスタの量産を開始するのは2022年になると予想していた。同社の取り組みは、私の予想よりも速く進んでいるようだ」と述べている。

Tirias ResearchのKevin Krewell氏

 米国の市場調査会社であるTirias Researchの主席アナリストを務めるKevin Krewell氏は、「Samsungのロードマップは意欲的だった。同社がEUVリソグラフィの開発を急ピッチで進めていることは知っていたが、GAAトランジスタでも高い目標を設定しているようだ」と述べている

 ただし、Krewell氏は、「GAAトランジスタの開発はまだ道半ばであり、スケジュールがずれる可能性もある」と付け加えた。

GAA構造のナノシート

 IBMは2017年6月、京都で開催された回路技術の国際学会「Symposia on VLSI Technology and Circuits」(2017年6月5〜8日)で、同社の研究パートナーであるSamsungとGLOBALFOUNDRIESとともに、ナノシートを積層した5nm GAAトランジスタの製造プロセスについて説明した。IntelやTSMCをはじめとする他のチップメーカーは、GAA FETに類似した、FinFETを超える次世代トランジスタの独自のバージョンを開発中であることが知られている。

IBMがSamsungとGLOBALFOUNDRIESと共同で開発したGAA FETの電子顕微鏡写真(断面)。ナノシートを積み重ね、ゲートで取り囲んでいる 出典:IBM

 Samsungは、2018年後半に、7nmのLow Power Plusプロセスを用いた量産にEUVリソグラフィを導入し始める計画について繰り返し言及した。Samsungは、業界が長い年月をかけて開発してきたEUVを初めて商業生産に用いた企業になるとみられる。TSMCとGLOBALFOUNDRIESも商業生産にEUVを用いる計画を発表しているが、導入開始はいずれも2019年になる見込みだ。

 半導体露光装置の大手ベンダーであるASMLや最先端の半導体メーカーは、EUV開発で長年にわたり課題となってきた光源について、課題が解決する可能性を示唆しているが、商業生産においてEUVの導入に必要な技術は、いまだ開発中で、細かいチューニングが進められている。

EUV向けペリクルやフォトレジストの開発も進む

 Samsung Foundryの主席エンジニアであるYongjoo Jeon氏は年次フォーラムで、Samsungが自社開発したEUVマスク検査ツールを用いる予定であると述べた。そのようなツールは市販されていないため、Samsungにとって大きな強みであるとJeon氏は付け加えた。

 Jeon氏によると、Samsungは、初期の段階では、EUVフォトマスクを粒子汚染から保護するペリクルを使用せずにEUVを導入する計画のようだ。ちなみにこのペリクルも、開発中の技術の1つである。Jeon氏は、Samsungのペリクル開発は進んでいると述べている。

 Jeon氏によると、SamsungはEUVフォトレジストも開発中であり、2018年後半には、欠陥密度についても、量産に向けた目標を達成できる見込みだという。

 Samsungのその他のロードマップとしては、2019年の5nm FinFETの量産、そして2020年の4nm FinFETの量産がある。

【翻訳:青山麻由子、滝本麻貴、編集:EE Times Japan】

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