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» 2018年06月05日 11時30分 公開

自動車市場参入への模索:台湾のEV戦略、PCでの“成功の法則”は通用するのか (1/3)

PCや携帯電話機で、広大なサプライチェーンを築き上げた台湾。これらのコンシューマー分野で築いた成功基盤を、自動車業界にも適用しようとしている。

[Junko Yoshida,EE Times]

PCと携帯電話機で、広大なサプライチェーンを築いた台湾

 台湾は現在、かつてのPCの時と同じように、携帯電話機でも成功を収めている。小さな島国でありながら、エレクトロニクス部品やサブシステム関連の広大なサプライチェーンを構築したことにより、AcerやASUSなどの世界的なPCブランドを手掛ける機器メーカーや、HTCなどのスマートフォンメーカーを生み出した。しかし、台湾は現在、640億米ドル規模に相当する自動車市場への参入を模索する中で、これまでと同様の戦略が機能するのかどうかという問題に直面している。

 一般的に考えれば、同じ戦略を機能させることは難しいといえるだろう。欧米の自動車業界のアナリストたちの多くは、「台湾は、安定したサプライチェーンを確立しているが、統合的な安全システムを構築したり、厳しい機能安全などの要件に対応したりする上で必要とされる経験が不足している」との見方を示している。自動車の複雑性を考慮すると、どの国でも、自動車産業の育成には数十年間を要すると考えられる。

 しかし、台湾の一部の業界観測筋によると、電気自動車の登場によって、こうした予測が覆される可能性がある。台湾科学技術部(MOST:Ministry of Science and Technology)のLiang-Gee Chen氏は、このような反対意見を主張している人物の1人だ。同氏は、EE Timesの独占インタビューの中で、「電気自動車市場は、エレクトロニクスが中心にあるため、台湾の強みを生かすことができるはずだ」と述べている。

台湾で自動車向けサプライチェーンを構築したTesla

Azizi Tucker氏

 ここで、かつてTeslaに勤務し、現在はXing MobilityのCTO(最高技術責任者)を務めるAzizi Tucker氏を取り上げたい。Xing Mobilityは、2015年に台湾で設立された、電気自動車用パワートレインシステムを手掛ける企業だ。同氏は、エンジニアから起業家に転身した米国人で、Teslaを去って台湾に移り住み、未来の電気自動車国家としての台湾の可能性を示すという、人生を変えるような決断をした人物だ。

 Tucker氏は、シニアサプライヤー開発エンジニアとして台湾に来たという。同氏はEE Timesのインタビューの中で、「Teslaが必要とする部品を、サプライヤーが確実に製造できるようにすることが、私の任務だった。私は、ほとんどの時間を台湾で過ごし、Teslaの自動車工場を林口(Linkou)市に設立して稼働させるために尽力した。これによりTeslaは、台湾で自動車の組み立てを行うことにより、大規模なローカルサプライチェーンを構築することに成功した」と述べる。

 台湾車聯網産業協会(TTIA:Taiwan Telematics Industry Association)の事務総長を務めるPaul Chou氏は、「内燃機関の時代には、自動車産業を構築するまでに50年間を要した。しかし、電気自動車産業に関しては、台湾で5年以内に実現できると考えている」と述べている。Chou氏のこのような見解は非常に強気のように見えるが、中国では既に、電気自動車関連の新興企業が続々と登場していることから、見当違いでもないといえる。

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