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ET & IoT Technology 2018 特集
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» 2018年06月28日 12時30分 公開

JASA発IoT通信(9):IoTサービスに対するモデリングの試行と得られた知見 (1/4)

組込みシステム技術協会(JASA)では、この課題解決への取り組みとして、2017年から「組込みIoTモデリングWG(ワーキンググループ)」を立ち上げている。今回は、これまで本WGにて実施してきた具体的なIoTサービスのモデリング結果と、そこから得られた各モデル、各手法の使い方、効果的な作成順序、実践からのプラクティスなどを紹介する。

[渡辺博之(エクスモーション),EE Times Japan]

IoT時代に必要とされる2つのモデル

 人工知能(AI)、モノのインターネット(IoT)がけん引する形で、ついに第4次産業革命の時代が幕を開けた。ここでは、さまざまな情報をデジタル処理して、迅速、正確、スマートな社会を実現することが期待されている。そのためには、なるべく多くの仕事はコンピュータのデジタル処理に任せ、人間の判断機会を極力減らさなければならない。まず必要なことは、全ての産業分野において、現実の世界を、コンピュータが扱えるようなモデルとして表現することである。いったんモデルができてしまえば、シミュレーションのようなデジタル処理により、最適解を効率よく導出することができるようになる。

 その一方で、経済産業省が提唱している「Connected Industries」のように、産業同士がつながることにより新しい価値を生み出すためには、これまでは想定していなかった異なる産業分野同士のつながりや、それによって生まれる新しいサービスやビジネスの検討などが必要になってくる。そのためには、異なる分野の人々が他の分野を正確かつ効率的に理解して適切な合意形成ができるようにしたり、ビジネスの価値やしくみを可視化できるようにしたりすることが求められる。もちろん、ここにもモデルの活用が期待されるが、これまでの技術主導型ではない、人と人が理解し合うことに重点を置いたモデルが有効になると思われる。例えば、異なる分野の利害関係者間での合意形成を行うためのモデル、産業構造の転換に合わせた新たなイノベーションを励起するモデル、ビジネス効果を検討するモデル、リスクを分析するモデル、などである。

 IoT時代には、モデル化によるデジタル処理などの技術でスマート社会を実現する「技術主導型モデル」と、産業同士のつながりにより新たな価値を生み出す「合意形成・説明責任型モデル」が求められる。ただ現状では後者の「合意形成・説明責任型モデル」(あるいは手法)に対する情報が十分ではない。Connected Industries実現のためには、これらの情報の整理や、具体的な活用事例の作成などが喫緊の課題といえる。

IoT時代に必要とされる2つのモデル「技術主導型モデル」「合意形成・説明責任型モデル」のイメージ (クリックで拡大)

組込みシステム技術協会(JASA)での取り組み

 組込みシステム技術協会(JASA)では、この課題解決への取り組みとして、2017年から「組込みIoTモデリングWG(ワーキンググループ)」を立ち上げている。目的は、前述したようなIoT時代に必要とされる「合意形成・説明責任型モデル」がどんなものなのかを明らかにするとともに、並行してそれらを実際のIoTサービスに適用し、その有効性を検証することである。

 今回は、これまでWGにて実施してきた具体的なIoTサービスのモデリング結果と、そこから得られた各モデル、各手法の使い方、効果的な作成順序、実践からのプラクティスなどを紹介する。

スマート内覧とは?

 当WGでは、モデリングの対象となる具体的なIoTサービスとして「スマート内覧」を取り上げた。「スマート内覧」とは、ライナフ(本社:千代田区)が提供している、新しい内覧を可能にするサービスである。スマートフォンや携帯電話機で開錠できるため、鍵の受け渡しや解錠、施錠に関する煩雑な手続きが不要になるとともに、内覧者にとっても、時間制約がなく自分のペースで内覧が可能になるなどのメリットがある。

 なお、当WGでは、「スマート内覧」を提供しているライナフからの使用許諾を得て、モデリング題材として活用している。

一般的な内覧とスマート内覧の比較 (クリックで拡大) 出典:ライナフ
スマート内覧の仕組み (クリックで拡大) 出典:ライナフ
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